老人ホーム倒産が過去最多、入居者襲うリスク

入居時の預かり金が戻らない可能性も

老人福祉・介護事業は、高齢化で市場が拡大し、大手から中小まで多数の業者が参入している。入居者の獲得競争は激しく、施設の職員の人手不足も深刻だ。

全国ホームヘルパー協議会が昨秋、事業者に対して実施したアンケートでは、人手不足に悩む実態が浮き彫りになった。課題をたずねたところ(三つまで回答可)、「募集をしても応募がない」(88.0%)、「給与が低い」(30.5%)、「効果的な募集方法がわからない」(24.0%)といった回答が並ぶ。

「早朝や夜間の人材が不足している」ことや、「高齢化が深刻で数年後が不安」と若い職員の不足を訴える事業者もいる。「人材の確保・育成・定着のための資金がない」といった声もあった。

資金力のある一部の大手は人材を確保できても、多くの事業者は人手不足を解消しにくい。介護業界の関係者はこう指摘する。

「介護現場ではサービスの質が求められています。人材育成を含めて一定の投資が必要。大手ならローテーションを組んで職員を研修に参加させることもできますが、小規模な事業所ほど人のやり繰りは難しくなります。資金力のない事業者は経営環境がますます厳しくなります」

有料ホームを選ぶときのポイントは?

さて、私たち入居者にできることは何か。老人ホームの淘汰(とうた)はますます進んでいく。監視するはずの行政も頼りにならない。大金を払って終(つい)のすみかを決めるときには、納得できるまで業者側に説明を求める。いったん入居しても、サービスが低下するなど問題があれば、すぐに家族や専門家に相談する。

有料老人ホームの選び方について、東京都福祉保健局はこうアドバイスする。

家族や友人らが訪ねやすいか、近くに商店街などが整っているか、立地に注意する。入居率やスタッフの平均勤務年数なども確認し、複数のホームで比較。赤字が膨らんでいないかどうかなど、経営状況も自らチェックしよう。不利な情報でもきちんと情報を開示するところが望ましい。

いまは老人ホームがいつ閉鎖されてもおかしくない時代。最後まで自分のことは自分で守るという姿勢が求められている。

(本誌・浅井秀樹)

※週刊朝日  2019年8月30日号

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