しかし、カーティスの歩みが示唆するところは、それらはいずれもエゴにとらわれた感情であり、また自分で自分の音楽活動を責任を持って創造し成立させるための努力をやりそびれているかもしれない、ということだ。
カーティスの「現実的な」ビジネス上の創意工夫をいくつか挙げよう。
「『わたしたちの活動の大切なことは、同じ物事を大切に思う価値観の人たちのつながり。だから、その分かち合いを続けるために、連絡を取り合ったりお知らせを送ったりできるメーリングリストに参加してもらえることが有意義でありがたいことです』と参加者には毎回漏らさずはっきりと話している。
これまで多くの人と音楽を通じて出会ってきて、コミュニケーションを育み関係を築いてきたけれど、音楽を超えてわたしたちともっと深くつながりたいと思ってくれる人たちがいることが見えてきた。それで、どんなテーマであっても、そのときわたしたちが考えていることや取り組んでいることについて、深い話をするPodcastをやることにした。
週1の更新なんだけれど、1週は完全公開の回、翌週はわたしたちがPatreonというサイトを使って運営しているオンラインコミュニティーのメンバーに限定して配信する回。わたしたちの活動をサポートしてもらう「方法」や「媒体」を多様化させればさせるほど、もっと多くの人から、より多くのサポートをしてもらえるようになる」
「本来の自分」とは何かを知ることが重要だった
このように、実に懸命で手堅いマーケティングや工夫を行っているのである。音楽の腕を磨くことがすべてで、人間の価値すらも演奏のうまい下手でしか測れなくなってしまうこともままある音楽家にとっては、刮目させられる行動ではないだろうか。
最後に、カーティスのこの言葉を贈りたい。音楽家だけではなく、すべての「今日を生きる人」に。
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