スノーピーク白馬進出の裏に地元の切実なSOS 1泊7万円超の超高級グランピング施設の狙い

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もう1つ、スノーピークが地元企業とタッグを組み、白馬で仕掛けるプロジェクトがある。10数億円を投じ、2020年春にJR白馬駅近くに開業する複合商業施設だ。約1万6000㎡の敷地内には複合商業施設や、キャンプ場を整備する。

商業施設は、隈研吾氏が設計を手掛け、キャンプ用品やアパレル販売の店舗のほか、白馬村観光局のインフォメーションセンター、スターバックスなどが入る。白馬村でスキー場を運営する、白馬観光開発と共同出資で設立した、スノーピーク白馬(白馬村)が開発、運営する。

白馬駅近くにある「ザ・ノース・フェイス」の直営店(編集部撮影)

開業する施設の周辺は、アウトドアメーカーのゴールドウインが展開する「ザ・ノース・フェイス」や、モンベル、パタゴニアといった有名アウトドアブランドのショップが軒を並べる「アウトドア銀座」。

スキーシーズンには多くの外国人観光客でにぎわうため、スノーピークの山井梨沙副社長は「海外にスノーピークのプレゼンスを高めることにつながる。白馬村の自然を生かした体験や価値を提供し、ブランドのファンになってほしい」と期待を込める。

業績も好調!

エントリー価格のテントなどのヒット商品が生まれ、同社の2018年12月期の売上高は120億7000万円、営業利益9億2000万円と過去最高益だった。今2019年12月期も売上高140億円、営業利益10億円とさらなる更新を狙う。

国内の人口が減り、メーカー各社が海外市場を開拓する中、スノーピークもまた、欧米に子会社を設立し、マーケティングを進める。2018年12月期は、23億円だった海外売上高を、2021年には42億円まで増やす計画を立てる。

白馬村も、一連のスノーピークのプロジェクトが、観光の新たな呼び水になると期待する。北尾根高原のグランピング施設、20年開業の大型複合商業施設ともに、国からの地方創生推進交付金を活用する。村は交付金を活用した一連の事業でグリーンシーズンの観光客数が約20万人増え、ほかの観光施設に約44億円の経済効果があると試算する。

白馬村の横山秋一副村長は「これまでは、グリーンシーズンに村にお金が落ちる仕組みがなかった。通年観光の道を開きたい」と意気込んでいる。

国分 瑠衣子 ライター

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こくぶん るいこ / Ruiko Kokubun

北海道新聞社、繊維専門紙の記者を経て2019年に独立。社会部、業界紙の経験から経済・法律系メディアで取材、執筆。趣味はおいしい日本酒を探すこと。Twitter:@8kokubun

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