スノーピーク白馬進出の裏に地元の切実なSOS 1泊7万円超の超高級グランピング施設の狙い

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基調講演で登壇した、スノーピークの山井社長の「デジタル化された世の中になっても、人間性の回復につながるアウトドアは廃れない。アウトドアビジネスはこれからもっと必要とされる」との言葉に、藤田さんは共感した。

すぐにSNSで、山井社長に「白馬を助けてください」とメッセージを送った。約10分後、社長本人から返信がきた。「一度、(新潟県三条市の)本社に来てください」と書いてあった。藤田さんはすぐに村のホテル関係者や、アウトドアに詳しい人たちに声を掛け、話を進めていった。

2016年10月、候補地の下見に白馬村を訪れた山井社長は、案内した藤田さんたちに「僕は、ちょっとやそっとの景色では驚かないですよ。いろいろ見ていますから」と言った。

グランピング施設内にあるドリンクサービスコーナー。白馬のクラフトビールや長野県産のワインなども
飲める(筆者撮影)

八方尾根の北尾根高原は、スキーで滑るには、なだらかすぎる地形だ。でも白馬三山を間近に望め、眼下には浅間山や戸隠連峰とともに白馬村が広がり、「白馬のいちばん低いところから、いちばん高いところまですべて見渡せる場所」と、地元の人はお気に入りのスポットだった。

リフトを降りて、北尾根高原に立った山井社長は、眼前に迫る北アルプスに感嘆の声を上げたという。

「なぜスノーピークが」 団結には時間も

トップからゴーサインは出たが、地元が一枚岩になるには時間がかかった。スノーピークで地方創生を担当し、グランピング監修の中心になった、上山桂・執行役員経営管理本部長CFOは「最初は、地元の人たちの間で微妙な温度差を感じた」と打ち明ける。現場には「なぜスノーピークが来るのか」と不信感を持つ若手もいたという。

「スノーピークフィールドスイート白馬・北尾根高原」は、スノーピークが監修し、運営は地元企業の八方尾根開発が担う。八方尾根開発は、宿泊費など売り上げの一部を、スノーピークへ監修料として支払う。上山CFOらは「施設の経営は、あくまで八方尾根開発」と理解を求め、社員同士でキャンプをするなど、少しずつ交流と信頼を深めていった。

「白馬に限らず、地域の外から民間が入ると、反発が起きるケースは少なくない。昔から住む人の地域に対する愛情を大切にしながら、時間をかけて理解を求めるしかない」と上山CFOは説明する。

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