(第24回)企業の採用意欲は依然旺盛 2010年度新卒採用の実態調査

●買い手市場と安心していると採用は失敗する

 ここまでの話をまとめてみよう。
 学生はマスコミ報道やまわりの声、世間の雰囲気で不安な気持ちが強く、企業に多数エントリーし、セミナー・説明会にも数多く参加している。一方で企業の採用意欲はそれほど落ちておらず、採用担当者の多くは例年より企業優位の環境を意識しつつも、質の部分では危機感を持っており、採用活動の焦点を質に集中させようとしている。それもあって、早期に選考を行う傾向が出ている。

 2009年度までは「じっくりと自分自身をみてくれたから」という理由が学生の最終決断に与える影響が大きかったが、2010年度は「最初に決めてくれたから」という理由が最終決断に及ぼす影響は無視できないという読みが働いているのかもしれない。
 現状でもしエントリー数やセミナー参加者の増大に安心し、「今年は買い手市場だから採用は楽だ」「予算を使わなくても採用できる」「他社の採用減で優秀な人材は獲得しやすい」「採用は後からゆっくりやっても大丈夫」などと考えている経営者や採用担当者がいるとすれば学生心理を読み誤ることになるかもしれない。そのような企業が選考本番の時期になって慌てても遅く、採用は失敗に終わる可能性は高い。
 厳選採用、少子化、優秀層の減少という採用環境下で、コア人材獲得は企業の大きな経営課題であり、一時的な経済状況の変化に右往左往するのではなく、中長期的な視点での取り組みが必要だ。2010年度新卒採用は、その姿勢が問われる試金石の年といえるかもしれない。

 紙幅の関係もあり、すべての調査データをご紹介するに至らなかった。データについては、採用プロドットコムのサイトにて閲覧が可能となっているので参考にしていただければ幸いに思う。
採用プロドットコム株式会社
(本社:東京千代田区、代表取締役:寺澤康介)
採用担当者のための専門サイト「採用プロ.com」を運営。新卒、中途、派遣、アルバイトなどの採用活動に役立つニュース、情報、ノウハウを提供している。

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