都営住宅の建て替え計画に住民が大反発、狭小化で介護ベットも置けない《特集・自治体荒廃》


板橋でも建て替え騒動 「型別供給」に募る不満

東京都は民間企業から年間5億2000万円の土地賃借料を得ている。その資金は他地域の都営住宅の建て替え等の原資になる。

東京都は南青山を皮切りに、港南四丁目第3団地(港区)、東村山市本町地区、勝ちどき一丁目(中央区)でも、南青山一丁目と同様に民間事業者を活用した建て替えを進めている。

建て替えによって、設備が新しくなり、エレベータの設置など住宅がバリアフリー化されることは、歓迎すべきことだ。ところが、建て替えが必ずしも歓迎されないのは、住民のニーズにそぐわないことがある。

住民の反発は、都が93年から独自に実施している「型別供給」にも向けられている。型別供給とは、単身者は1DK、2人世帯なら2DKといったように、現状の世帯人数に応じて新築の部屋をあてがう制度だ。高齢化が著しく、一人暮らしが多い都営住宅の建て替えでは、必然的に1DKの部屋が多くなる。建設費は安く済む一方、この方式が進められた場合、将来、狭い住居ばかりできることにもなりかねない。

都営三田線・蓮根駅から徒歩1分の第二長後町アパート(板橋区)も建て替え問題に揺れている団地の一つだ。同住宅に住む廣幡信昌さん(建て替え対策委員会代表)は、「型別供給は絶対に受け入れることができない」と主張する。

移転先が03年以降に建て替えられた住宅となる場合、単身者は1DK32平方メートルのタイプに住むことを余儀なくされる。現在、ほとんどの住民は2DK、47平方メートル以上の居宅に住んでいるため、10平方メートル以上も狭い部屋が割り当てられる。

都営住宅の狭さは、大阪府営住宅や愛知県営住宅と比べても際立っている。大阪府営住宅の整備基準は1DK36平方メートル。愛知県営住宅は同43平方メートル。公営住宅の面積に関する全国統一の基準がないため、このような差が出てくる。

東京都都市整備局都営住宅経営部の田中彰・住宅整備課長は、「税金を投じて建てている以上、必要以上に広い面積の部屋は造れない」と力説する。

建て替え後の都営住宅は、車いすが通れるように間口を拡げるなど、バリアフリー設計になっている。だが、1DKタイプの6畳間には、タンスや食卓を置くと介護ベッドは入らない。介護用の浴槽を室内に搬入する訪問入浴サービスを受けることも不可能になる。前出の田中氏も「1DKの部屋に住む高齢者を、誰かが付き添って介護をするのは難しいかもしれない」と認める。

市民団体の東京都公営住宅協議会の齋藤正徳会長は、「型別供給を裏付ける法律や政令はないのに、なぜ都は無理に推し進めるのか。高齢者が多い都営住宅の現実を無視している」と同制度に批判的だ。

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