「Appleカード」はなぜそこまで注目されるのか iPhoneユーザーの斬新なクレジットカード
アップルは世界に先駆けて、アメリカで独自のクレジットカード「Apple Card」の発行を8月から順次開始した。今年3月に発表されて以来、ゴールドマン・サックスと組んでアップルが金融分野に乗り出す新サービスとして注目を集めてきたが、その理由について、アップルがこれまでと現在から読み解いていこう。
誰でも持てるが、所有欲をそそられるカード
Apple Cardの本質は、iPhoneだけで手続きができ、すぐに利用可能になり、あらゆる情報がWalletアプリに集約される「iPhoneユーザーのために再設計されたクレジットカード」であることだ。
しかし「Apple Cardが欲しい!」という人のほとんどは、チタンを用いたカードを手に入れたい、という所有欲をあらわにする。この2面性は、Apple Cardが発行される前から注目される理由と言える。
多くのクレジットカードは顧客獲得に膨大なコストをかける。提携企業とカードを発行するなどして、さまざまなターゲットの会員にリーチしたり、入会時のボーナスを積み増すことも多い。一度入った顧客から、じっくりとそのコストを回収し、それ以上の収益を上げようという戦略だ。
Apple Cardは、最初はアメリカのユーザーのみだったが、それでも対象ユーザーは1億人を超える。さらに近い将来10億人とも言われる世界のiPhoneユーザーがターゲットになる。ほかのクレジットカードに比べて、長期的な顧客獲得コストは極めて低くなる可能性が高い。何しろ、iPhoneの画面から入会手続きが済むからだ。
それならば、一般的には年会費10万円以上支払うステイタスカードにしか設定されない金属製のカードを無料で支給しても余りあるということだ。
金融サービスの面から見ると、非常に恐ろしいチャレンジにも映る。アップルのブランドと、ハードウェア(モノ)の所有欲からユーザーを呼び寄せてしっかりとロイヤリティを築き上げ、サービスで収益を上げていくという、アップルの現在のビジネスモデルをクレジットカードに適用するわけだ。
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