植草:条件が合っていたほうがスムーズに結婚生活は進むと思うんですよ。「お金持ちと結婚したい」とハッキリ条件を言う女性もいます。「お金があれば、年齢は一回り上でもいいの?」と聞くと「いいです」と言う。そうやって自分にとって必要な条件が明確にわかっている人はご成婚に至りやすい。
山田:でもその場合、生活のリスクはなくても情緒面でのリスクはあるのではないですか? 経済的な条件を重視して結婚したために、結婚後、女性は親やペットとベッタリ、男性は風俗やキャバクラに走るというケースがあると聞きます。
ある婿養子に入った男性にインタビューしたことがあるのですが、彼は、「妻は僕が次男だから結婚したのだと思う。結婚後、妻は二世帯住宅に同居している実母と一緒に食事をして、僕はいつもひとり」と言う。ある日、奥さんに「僕と母親とどっちが大事なんだ?」と聞いたそうです。奥さんは「母親」と答えたので、結局離婚しました。奥さんは彼のことを好きでもないのに「次男」という条件だけで結婚したんでしょうね。
女性の意識が変わらないと状況は変わらない
植草:そういうケースもあるかもしれませんが、そもそも初婚の人は「結婚が生活である」ということを知らない場合が多いんです。結婚をすてきな結婚式を挙げる日、すなわち“点”だと思っている。実際には、結婚はこれから先、長い人生を一緒に生きていくという生活であり、点ではなく“線”です。
「条件を考える」というのは「自分がどういう生活をしたいか、どういう人生を生きたいかを考える」ということ。そうすると、男性として惹かれるかどうかというよりも、収入はいくらか、妻が働き続けることに肯定的かどうか、子どもはほしいかどうかといったことのほうが優先度が高くなる。
山田:結婚相談所ではそうかもしれません。しかし、収入に関していえば、前回もお話ししたように低収入の男性が激増しました。女性が男性に経済的に依存するという状況が変わらなければ、社会全体としては未婚率の上昇を抑えることはできない。男性も家事をするという方向で意識改革が必要ですが、収入は男性に頼って当然という女性側の意もが大きく変わることが必要ですよね。
植草:その点については、私はこれからの新しい結婚の形として「尊敬婚」を提唱しています。年齢が上、年収も上の成熟した女性が、5歳とか10歳年下の自分よりも年収が低い男性と結婚する。