「貧困」を考えるうえで背けられない客観的事実 数字だけでなく貧困に生きる人の声も必要だ

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こうした歴史を踏まえると、近年、日本で「非正規労働者」が急増していることが腑に落ちるのではないでしょうか。

総務省「労働力調査」によれば、1984年には15.3%だった非正規労働者が2018年には37.9%と急増しており、働く人の3人に1人以上が非正規労働をしているということになっています。この中には、主婦のパート労働や学生のアルバイトなどの「家計補助」的な働き方も含まれます。

しかし、一家の大黒柱としての「家計維持」的な働き方としても、非正規労働は一般化している傾向があります。

そもそも非正規労働者とは、正社員ではない人たち全般を表す言葉。契約社員・派遣社員・アルバイト・パートなど、期間の定めがあったり臨時的な仕事だったりと、雇う側からしたら需要や収益の状況に合わせて調整できるという利点があり、バブル崩壊以降、日本でも一般的な雇用形態として定着しました。

一方、非正規労働は正規労働と比べて、「雇用が不安定」「給料が安い」「福利厚生がうすい」といった特徴があります。いったん非正規雇用で雇われると正規雇用になるのが難しく、雇用の不安定化と低所得化が固定化されてしまうという問題もあります。

実際、非正規労働者の増加の影響を受けて、近年、低所得者が増加しています。国税庁の「民間給与実態統計調査」によれば、年収200万円以下の人は2013年で1120万人。これは働く人の24.1%、東京都の人口とあまり変わらない数です。

2000年には18.4%であったことを考えると、この10年間で約6%の上昇。数にしたら300万人程度の人が新たに年収200万円以下の状態に転落したといえるのかもしれません。

個人の自己責任だけでは片付けることのできない、構造的な問題がここにはあるのです。

注目を集めた「女性」の貧困、「子ども」の貧困

貧困問題は、「〇〇の貧困」というように、ある特定の形を付与しながら語られることが多いです。最後に、ここ十数年でとくに語られることの多かった「女性」と「子ども」の貧困について確認しておきましょう。

女性の貧困について考えるとき、背景にドメスティックバイオレンス(DV)の問題があることを忘れてはいけません。DVとは、主に夫婦やカップル間での暴力のことを指します。

ここでいう暴力とは、必ずしも殴る蹴るなどの身体的暴力のみを指すものではありません。

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