日本の農業が、世界で勝つためのヒント 強い農業

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成長に向けたもう一つのキーワードが「連携」だ。有力農家の間で、農協を核にした地域完結型農業から脱し、広域連携を図る動きが加速している。今後TPP(環太平洋経済連携協定)が締結されれば、海外の安い農産物がさらに増える。TPP時代を見据えれば、日本の農業も本格的にコストダウンを追求しなければ生き残っていけない。

農家同士だけではない。すでに1200社以上の企業が農業への参入を果たしており、最近では企業と有力農家との連携が目立っている。

山梨県でトマトなどを栽培するサラダボウル。同社は今春、北杜市でオランダ式のトマトハウスの建設を始める。ハウスの面積は約3ヘクタール。三井物産などと組み、約10億円の資金を調達する。

農業大国として知られるオランダでは、同じ面積から日本の8倍ものトマトを収穫する。高い単収(単位当たりの収量)はなぜ可能なのか、労務管理はどうしているのか……。狙いはそれらを学び、ほかの一般のハウス栽培に応用することだ。
 サラダボウルの田中進社長(42)は、こうした世界先端の生産技術を取り入れながら、企業とも連携し、生産から販売まで一貫した独自のモデルを構築しようとしている。「将来はグループで50ヘクタール程度の農地を手掛けたい」(田中社長)。

農業は今、間違いなく大きな転換期を迎えている。そして、すでに農家は動き出している。強い農業を作るヒントは必ず見つかるはずだ。

(週刊東洋経済2014年2月8日号)

週刊東洋経済編集部
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