今が歴史的な円安水準だと知っていましたか 実質実効為替レートで見てみよう

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そして、日本経済が苦境にあえいだ2011年から2012年ころにかけての1ドル70円台の円高でさえ、実質実効レートでみれば今世紀はじめころと比較してむしろ円安でした。

日本円が本当の意味で円高だったのは1995年に1ドル84円だった当時で、実質実効レートなら円は現在のちょうど倍の価値がありました。それほどの円高でも日本経済に実力があったため日本企業は円高を乗り切ってきた。本来は通貨が強いということは、その国の経済力が強いことを意味するのです。

そしてこれからの未来予測という意味で不安材料が3つあります。

ひとつは現在の為替水準はアメリカから見ても中国から見ても「日本は歴史的な円安水準」だということです。市場の参加者や通貨当局が「今の日本は円安すぎる」と考えたとしたら、まだ一層の円高に進む可能性は否定できない。言いかえると株安が起きる可能性はまだ残っています。

結局のところ為替相場は予測できない

一方で2つ目ですが、そのような円高が進むほど日本経済の将来性に不透明感が漂うことです。今が歴史的な円安だという事実が意味することは、結局のところ日本経済がデフレに蝕まれ、かつての経済力を持っていないことに本質があります。もし円高に進まずに今の為替レートが維持されたとしたら、ないしは今よりもずっと円安基調が続いたとしたら? そのとき株式市場はひととき落ち着きを取り戻すかもしれませんが、長期的には日本株が成長しないことを意味します。

そして最後に何よりも残念なことは、結局のところ為替相場は予測できないということです。円高に行くかもしれないし、円安に戻るかもしれない。為替介入があるかもしれないし、何も動きがないかもしれない。身もふたもない話ではありますが、この週末は投資家の皆さんはもちろん、私自身もとても不安に過ごしています。

鈴木 貴博 経済評論家、百年コンサルティング代表

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すずき たかひろ / Takahiro Suzuki

東京大学工学部物理工学科卒。ボストンコンサルティンググループ、ネットイヤーグループ(東証マザーズ上場)を経て2003年に独立。人材企業やIT企業の戦略コンサルティングの傍ら、経済評論家として活躍。人工知能が経済に与える影響についての論客としても知られる。著書に日本経済予言の書 2020年代、不安な未来の読み解き方』(PHP)、『仕事消滅 AIの時代を生き抜くために、いま私たちにできること』(講談社)、『戦略思考トレーニングシリーズ』(日経文庫)などがある。BS朝日『モノシリスト』準レギュラーなどテレビ出演も多い。オスカープロモーション所属。

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