今が歴史的な円安水準だと知っていましたか 実質実効為替レートで見てみよう

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さて、為替レートがどちらにどう動くのか? それが円高だとしたら日本株は本当に暴落するのか? この局面で投資家が気をつけておいたほうがいいことがあります。

それは、今も含めて過去5年間の円相場は歴史的な円安水準にあるということです。

「いや、1ドル105円なんてこれまでの歴史で見ればぜんぜん円高のほうに入る水準じゃないの?」

とおっしゃる人も少なくないと思うのですが、今回は「実はそうではない」という話をしたいと思います。

わたしたち経済評論家が円高や円安を語る際には、多くの人がご存じのドル円の名目為替レートを見るのではなく、日本銀行が発表する実質実効為替レートの推移を見ます。

過去40年間の中でいちばん円安

これは簡単にいえばインフレ率とドル円だけでなく他通貨との関係も加味したレートですが、グラフにすると円の実力が見えてきます。実質実効為替レートは名目レートとは反対に数値が低いほど円安となります。1990年から2000年にかけて実質実効レートは名目の為替レートとほぼ同じ動きをしていたのですが、その後は名目の為替レートと実質実効為替レートが乖離。デフレ経済が本格化して以降、日本円は円安方向にひたすら向かい、2013年に日銀が黒田バズーカをぶっ放した後は1980年代前半よりも円安になったことがわかります。

つまりここ最近の5年間は過去40年間の中でいちばん円安なのです。これがどういうことかというと、体感的にわかりやすくいえば「日本人が海外旅行に行くと物価が高いと感じ、外国人が日本に来ると日本の物価が安いと感じる」ということです。

わたしたちは「シンガポールのマンションは1部屋で2億円」という話を耳にしてびっくりするわけですが、逆に中国人は「東京のタワーマンションの中には、中古で6000万円の部屋がある」などという情報を聞いて安いと思って買い漁るわけです。

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