ファンケル「82歳の創業者」がキリンと組むわけ 「今年で82歳。私が死んだら社員が困る」

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「大変満足している」とキリンの磯崎社長が語るように、両社は今回の提携には補完関係があることを強調する。キリンは中期経営計画において、「食(酒・飲料)から医(医薬品)にわたる領域」の強化を掲げる。4月に子会社化した協和発酵バイオを軸に、飲料事業と医薬事業の中間にあたる領域を育成しようとしている。

その領域に当てはまるのが、まさしくファンケルが得意とするサプリメント事業だ。両社は今後、キリンの酵母・発酵技術を生かした化粧品やサプリメントの共同開発、生産面での協業、販売チャネルの相互乗り入れなどを模索する。

経営の独立性を保つため、キリンを選んだ

ファンケルはキリンを選んだ理由として、経営の独立性が保てることを挙げているが、これは思惑通り進展するとは限らない。「わが社の独自性を生かすことが最大の条件。キリンはこれから先、うちの株を買い増す時に、ファンケルの取締役会に諮り、役員の了解を得る必要がある。あくまでファンケルの独自性を守ったうえで、大きな会社の傘下に入ることが私の望みだった」(池森氏)。

ただ、ファンケルの元社員は「池森氏が現場から一線を引いた時期は業績も低迷。当時の社員は力不足だったという思いも(池森氏に)あったから、今回、実質的にキリンの傘下に入る決断をしたのだろう」と指摘する。

後継者不足に悩んだ末に、池森氏は実質的にキリンの傘下に入る決断をしたというわけだ。池森氏は会見では進退を明言していないものの、「池森退任後」にファンケルの社員たちがモチベーションを保ちつづけることができるかどうか。

大手ビール会社と業績好調なオーナー会社との資本業務提携。首尾良く相乗効果を出すことができるのか、未知数だ。

若泉 もえな 東洋経済 記者

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わかいずみ もえな / Moena Wakaizumi

東京都出身。2017年に東洋経済新報社に入社。化粧品や日用品、小売り担当などを経て、現在は東洋経済オンライン編集部。大学在学中に台湾に留学、中華エンタメを見るのが趣味。kpopも好き。

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