でも、限られた今回の取材シーンだけで見れば、試乗した2つのモデルの走行性能からはマツダがこれまで声高に主張してきた新世代商品群の意味的価値を見いだすことが難しかった。これが正直なところだ。
それこそ2017年のプロトタイプ取材で見聞きし体感した者からすれば、もっとドライバーや同乗者に訴えかけるものがあるはずという想いが募る。よって筆者のMAZDA3に対する最終判断は公道での試乗を行ってから改めて行いたい。
不足している加速フィールの演出方法
では今回試乗した2.0Lガソリンと1.8Lターボディーゼルに対して筆者は何を思ったのか。以下、具体的に記したい。まず、ガソリンとディーゼルに共通して不足している点は加速フィールの演出方法だ。
マツダの試乗会ではアクセルペダルを全開にした絶対的な加速力をテストする以外にも、公道をイメージしてジンワリと増速させる試乗ステージを設けることが多い。今回もそうしたシーンが設けられていたのだが、2モデルともに加速フィールが弱いと感じられた。機器を用いて計測すれば不足ないどころか、むしろいいデータが記録されるのかもしれないが、どうも体感値が弱い。
さらにクローズドコースということで、ETCゲートを通過後にグッと加速するようなシーンを想定したコース設営がなされていたのだが、ここでは2.0Lガソリンの絶対的な加速力が不足気味。試乗時は1名乗車であったが、これが複数でさらに登坂路ではどうなのか。
原因のひとつに6速ATのギヤ比やシフトプログラムがあるのではないかと推察する。ガソリンモデルでは2→3速、ターボディーゼルでは2→3→4速とシフトアップする度に加速が落ち込みスムースな増速が続かない。
カタログによれば1~6速、そして最終減速比はガソリン/ターボディーゼルともに同一だが、出力やトルク特性の関係から先の状況では体感加速値が弱く感じられたり、加速力にしても不足気味であったりと感じられるのだ。また、この事象は連続する加速度、つまりこれまでマツダが大切にしてきた躍度との関係にも直結する。
ただし、エンジン単体での出力値は十分で、その証拠に強くアクセルペダルを踏み込むようなシーン、具体的にはアクセルペダルを80%程度踏み込むシーンでは加速フィールは好転し躍度も高めで安定する。
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