銃乱射続いても「銃規制」できぬアメリカの病巣

銃規制反対グループが擁する構造的強み

「上院は審議を再開し、命を救う法案に関してただちに投票を行うべきだ」。こう話すのは、ブルームバーグが資金援助する草の根団体「銃についての良識的な行動を求める母親たち(Moms Demand Action for Gun Sense in America)」の創設者、シャノン・ワッツだ。「もし議会が動かないのなら、銃への良識を持つ人たちが議会で過半数を占めるよう、また正しいことを行う大統領が誕生するよう、さらに強力に活動する」。

上院共和党のトップであるミッチ・マコーネルは、8月3日と4日の事件についてツイッターで「恐ろしい」と述べたが、法案には触れなかった。「今朝、再び大量殺人が起こったのを知り、うんざりする思いだ。24時間も経たないうちに、2つの恐ろしい暴力行為。警察がアメリカの安全を保ち、正義をもたらすよう支援する」。

銃規制法案「上院通過」の高いハードル

しかし、上院民主党も、ただマコーネルを責めるだけでは済まなさそうだ。銃乱射事件が近年多発していることから、活動家のグループが銃規制の議論でかつては異端だった立場をとるようになってきている。つまり、銃規制について十分に取り組んでいないと思われる民主党議員に、責任を果たさせようとしているのだ。

オハイオ州デイトンの銃乱射で死亡した9人の中には、銃撃犯の妹も含まれていた(写真:AJ MAst/The New York Times)

「上院議員としての立場を使って、議事進行妨害など、できることはすべて行うべきだ。いますぐにワシントンに戻って、行動する意思があることをアメリカ中に示してほしい」。ガンズ・ダウン・アメリカのエグゼクティブ・ディレクター、イゴール・ボルスキーは言う。

コネチカット州選出の上院議員、クリス・マーフィーは、2012年にコネチカット州のサンディフック小学校で起きた銃乱射事件以来、銃規制法案を推進してきた。彼は、8月最初の週末は共和党の議員と銃規制について議論していたと話した。

もし共和党が意見を変えないなら、民主党員は「結集して、上院でどんな力を使えるかを考える必要がある」とマーフィーは言う。しかし、現実的には、民主党員が過半数を占めないと、銃規制法案は上院を通過しないかもしれないとも話す。「法案が成立する方法を探るのが私の役目だ。しかし、2013年の春以来、選挙によって実現する道筋もしっかりと見据えている」。

下院で銃暴力防止タスクフォースの議長を務める民主党のマイク・トンプソンは、上院の通過は困難であるにもかかわらず、追加の法案に取り組んでいる。例えば、多数の弾丸を装填できる弾倉の規制などだ。

「残念なことに、銃による暴力の防止の問題は党の対立が根本にある」と、トンプソンは言う。「サンディフック小学校での事件以来6年半もの間、下院の共和党は銃暴力防止に関する審議を阻止してきた。民主党が下院で過半数を占めるようになって、この状況は変わった」。

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