相鉄「都心直通」で武蔵小杉の混雑は増すのか? 湘南新宿ラインなどJR線にはどんな影響が

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直通列車が増発の形になるかどうかは「関係各所とダイヤの検討を進めている段階」(JR東日本)で、現状では未定だ。一方、JR東日本は相鉄直通列車が運行する予定の線区について、本数増加に対応するための工事を行っている。

相鉄・JR直通線と相鉄・東急直通線(2022年度開業予定)が分岐する場所。外側の2本がJR直通線だ(記者撮影)

神奈川県の自治体などでつくる「神奈川県鉄道輸送力増強促進会議」が2018年度に出した相鉄・JR直通線に関する要望に対し、同社は「運行が予定されている線区に関して弊社独自で運行本数の増加に対応するための改良工事等を進めているところ」と回答。同社東京電気システム開発工事事務所のwebページにも「相模鉄道直通化工事」として「運転時隔短縮改修」などの工事を行っているとの記載がある。

同社は改良工事について「具体的な工事内容や進捗には答えられない」(横浜支社)としている。また、以前の東洋経済の取材に対し、信号の間隔などを理由に「横須賀線の本数増は難しい」と答えている(2019年6月17日付記事「武蔵小杉は大混雑、横須賀線の増発はできる?」参照)。

ただ、相鉄直通に関連する路線の輸送力増強に向けた改良が進められているのは確かだ。

大崎駅付近に残るネック

しかし、相鉄・JR直通列車が乗り入れる路線の運行上、ボトルネックとなる部分は残る。大崎駅付近で湘南新宿ラインと横須賀線が分岐する部分だ。新宿方面に向かう湘南新宿ラインの列車は横須賀線の上り線から大崎駅に入る際、横須賀線の下り線を横切らなくてはならないため、両線のダイヤに制約を生んでいる。

羽沢横浜国大駅のホームからJR線側を見たところ。左がJR線方面、右が相鉄線方面へのホームだ(記者撮影)

JR東日本は以前から、対策として横須賀線の上り線と大崎駅をショートカットする「大崎短絡線」の整備を計画している。相鉄・JR直通線のインフラを整備する鉄道建設・運輸施設整備支援機構(鉄道・運輸機構)の資料によると、短絡線は同直通線を含む「神奈川東部方面線事業」の関連事業にも位置付けられている。

だが、整備が進展している様子は見られない。東京都環境局のwebサイトによると、2007年1月に短絡線整備事業についての環境アセスメント調査計画書が提出・受付されているものの、その後の手続きは進んでいない。

JR東日本は短絡線について「整備にあたって地元で説明会を開催するなど、進捗に向けて理解をいただけるよう努めている」と説明するが、具体的な整備目標や進捗状況については「現状でお伝えできることはない」という。直通列車は、従来からのネックが残る中で運行を開始することになる。

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