離婚後も円満に子供に会える「共同養育」とは? 子どもにとってはたとえ離婚しても「父と母」

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離婚後、とくに母親のほうが子どもを父親に会わせないケースが多いといいます。そんな母親は心の奥底に、離婚に至るまでの苦労や我慢、中には恐怖も抱えているのかもしれません。ですから、子どもから父親を遠ざけようとする気持ちもわからないわけではありません。でも、子どもの気持ちにも寄り添うことが大事ではないかと思うのです。「共同養育」の形で、離婚後も両親が子育てに関与できるようにならないものでしょうか。

一般社団法人「りむすび」代表で、共同養育コンサルタントのしばはし聡子さんは、ご自身の経験から「共同養育」の支援をしています。

しばはしさんは、離婚後しばらくは、元夫への感情から「子どもは絶対会わせたくない」と強固に思っていたそうです。離婚協議はこじれ、弁護士を立てて事を進めました。弁護士が介入すると、夫婦の関係は泥沼化しますが、調停離婚が成立しても、元夫と連絡を取ることすら苦痛になったそうです。調停で決められた面会交流の連絡も避けていたら、元夫から憤りの連絡が入るようになったといいます。

しかし、その後夫婦問題カウンセラーとなったしばはしさんは、面会交流の支援ボランティアをしたとき、ある光景を目にしました。

母親から子どもを預かったとき、さまざまな注文がありました。「〇〇とか、△△はしないでください」と強い口調で言っている、不機嫌そうな母親の横で、子どもは笑いもせず、じっとおとなしかったそうです。ところが、その子を連れて父親の元へ行くと「パパ!」と、ありったけの笑顔で一目散に駆け寄ったのです。それを力いっぱい受け止め、抱きしめる父親。その光景を目にして、しばはしさんは大きな衝撃を受けたのです。

離婚をしても、子どもにとっては「父と母」

「自分には、子どもと父親の関係を断絶する権利はない」と、しばはしさんは気づいたといいます。この後、初めて元夫へメールを送り、「息子と一緒に、夕飯を食べてあげて」と伝えました。

それまで、元夫のメールを無視したり、面会交流も中途半端に対応したりしたのに、元夫は責めることなく「わかった、ありがとう」という言葉で返してくれました。しばはしさんはうれしいと同時に申し訳ない気持ちになり、別れても子どもの「父と母」である関係は変わらないということに、また気づいたのです。

その後、しばはしさんにとって元夫は「誰よりも自分の子どもを愛してくれる、信頼できる無料のシッター」となりました。ティーンエージャーになった息子さんは、男同士でしか埋められないものがあるらしく、数日間、元夫の元へ泊まりに行くと、少し成長して帰ってくるとか。「女手一つで育てていたら、こんなに彼を変えてあげられなかった」という彼女の言葉が印象的でした。

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