日本と米国でこうも違う「キャッシュレス」事情 実は先端的なサービスが数多く普及している
小切手をいまでも使うアメリカのキャッシュレスには、どうしても古い感じを持つが、実はいろいろイノベーションも起こっている。
チップの支払いもクレジットカードと一緒にできることや、電話番号を個人情報として登録すればメンバーズカードがいらない。つまり現金もメンバーズカードもなくなっているのだ。そして、伝統的な小切手についても、銀行のアプリに登録すれば、もらった小切手の入金申請もできるため、いちいち銀行に小切手を預けに行く必要もない。
紙の小切手というシステムをうまく電子化して、習慣や確認点の変化が少なく、利用者の負担が少ない進化ともいえそうだ。
そして、割り勘文化のアメリカでは、各自がクレジッカードを渡してそれぞれ決済してもらうことが普通だが、今は割り勘をスムーズにできる「VENMO(ベンモー)」も注目されている。これはオンライン決済のペイパルが所有するモバイル送金サービスだ。自分の銀行口座と連結し、割り勘したいときは、相手のVENMO口座に振り込めばよい。30代以下の若者を中心に爆発的な人気を得ており、外出時の必須アプリになっている。
普通のクレジット決済でも、同時に数枚のクレジットカードを渡せば、お店の人が割り勘決済してくれる。筆者も渡米して1カ月のうち、3回だけ現金を使った。
その理由は全部VENMOの登録が済んでいなかったからだ。そのほか、アメリカのメッセンジャーサービスにも送金機能があり、日本でいうLINE Pay(ラインペイ)と似たサービスで便利だ。
ほかにも、アメリカでは「Amazon Go」のようなサービスもある。アプリで入場し、買い物をしてそのまま出る、列もレジもない新型スーパーである。また、サンディエゴの例を挙げると、バスなど公共交通機関の乗車券を買うとき、アプリで済ませ、画面を運転手に見せるだけで済むので、生活面でもとてもスマートだ。
決済から消費を活性化する
うらやましいことに、アメリカでは若者はまだ市場の主力を担う。なぜなら、アメリカは積極的な移民の受け入れもあって、先進国で唯一、若年層人口が増加する国だからだ。彼らの嗜好に合う便利で「格好いい」支払い方法が、これからもどんどん出てくるだろう。消費市場では、消費者に気持ちよく決済してもらうことは、消費市場の活性化につながる。
もちろん日本は、単なるキャッシュレス化を進めることが目的ではない。例えばストレス軽減、イノベーション創出、そして経済利益の拡大を念頭に置きながら、アメリカや中国での事例をもとに日本ならではの方法を模索するしかないだろう。
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