無自覚に「パワハラの加害者」になる人の特徴 周りに「勝ち負け」にこだわる人、いませんか

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言うとおりにしなければ仕事を与えないといった具合に、相手の不利益をちらつかせたり、業務量など必要以上に負担をかけることをはじめ、人間関係の切り離し(情報を与えない、無視)などで孤立させる場合もあります。

自分の優位性を示すために、相手の「人格」や「思い」を徹底的に押さえつけるような方向に向かいやすくなります。

ですから、パワハラのターゲットは、仕事の手際が悪く、思うように動いてくれなかったり、要求を実現化できない部下にいきがちですが、反対に、自分の優位性を脅かす優秀な部下もターゲットになります。

勝つことを意識しているということは、負けることに敏感ということです。会議のときにすばらしいプレゼンをしたり、正確な資料を手早くまとめてきたなど、自分よりも能力の高さを見せつけられると脅威を感じ、押さえつけようとするのです。

2.「べき論」を強く持っている

自分の意思を確立していることはよいことではあるのですが「仕事にはこのように向き合うべき」といったような、「○○すべき」「こうあるべき」といった価値観は、自分も相手も窮屈にさせてしまいます。

この意識が強ければ強いほど、意図していないことに対しての反発や怒りは大きくなり、ハラスメントにつながりやすくなります。

私の実施する研修の中で、電車の中での許せない行動リストにチェックを入れてもらい、グループでディスカッションしてもらうというワークがあるのですが、各自許せない順位をつけてもらうと面白いほど意見は割れます。

例えば、子どもが騒いでいるのにスマホに夢中な親、乗降口をふさぐように立っている人、混んでいるのに手荷物を座席に置いている人、などさまざまな項目があり、選ぶ際に各々の「べき論」が影響します。

そこで自分の価値観や物事への見方を認識するといった意図があるのですが、その後のディスカッションでほかの人の「なぜそれを選んだのか」を聞くと、今まで絶対と思っていた認識が変わったり、多様性が認められるようになったりするのです。

自分の中での譲れない部分はあってもよいと思うのですが、気づかないうちに独りよがりになったり、偏ったりしていることもあります。こだわりが強すぎると自分も苦しくなりますし、相手にそれを求めるとハラスメントに発展することもあるので、柔軟性を身に付けることが大切です。

自分はハラスメントなんてしていないという人ほど、自覚をしていない場合があります。実際、たった1人の該当者のためにパワハラ研修をしたいと依頼を受けたにもかかわらず、研修当日、当人がいなかったなんてことは少なくないのです。

ひどい暴言を吐いていないから、手を出すなどの暴力はしてはいないからパワハラはしていないと思っている方がいたら、ご自身の思考傾向を、今一度振り返っていただく機会をもっていただきたいと思います。

自分を理解しようとする人は、他人のことも理解しようとしますし、自分を大切にすることは、周りの人を大切にすることにつながります。お互い思いやりをもって、わかり合える関係性を創っていけますように。

大野 萌子 日本メンタルアップ支援機構 代表理事

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おおの もえこ / Moeko Ohno

法政大学卒。一般社団法人日本メンタルアップ支援機構(メンタルアップマネージャ資格認定機関)代表理事、産業カウンセラー、2級キャリアコンサルティング技能士。企業内健康管理室カウンセラーとしての長年の現場経験を生かした、人間関係改善に必須のコミュニケーション、ストレスマネジメントなどの分野を得意とする。現在は防衛省、文部科学省などの官公庁をはじめ、大手企業、大学、医療機関などで年間120件以上の講演・研修を行い、机上の空論ではない「生きたメンタルヘルス対策」を提供している。著書に『よけいなひと言を好かれるセリフに変える言いかえ図鑑』(サンマーク出版)がある。

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