離婚をすると「夫婦の年金」はどうなるのか? 本当に「年金分割制度」を知っていますか
第1に、年金分割の対象になるのは厚生年金部分のみです。したがって国民年金や厚生年金基金、およびiDeCoをはじめとする確定拠出年金は対象外です。ただし、厚生年金基金や確定拠出年金は年金分割の対象外でも、「財産分与」の対象になることもあります。事実、夫の退職が間近であり、年金額がほぼ確定している人の確定拠出年金が、財産分与の対象とされたケースがありました。
第2の注意点は、年金の年金分割は単純に「金額」を2等分にするのではないことです。例えば、離婚しないという前提で夫が受け取る厚生年金の額が月15万円だから、年金分割で受け取れる妻の額は7万5000円とはならないのです。
婚姻期間が短いほど、受給額は少なくなる
では、どうなるのでしょうか。具体的には、「婚姻期間中」に支払った厚生年金保険料を按分し、その額に該当する厚生年金を受給することになります。ここで、カンのいい方はお気づきかと思います。
そうなのです。Cさんの場合は妻が若いため、離婚せずに夫婦円満の人生を過ごせれば加給年金の分だけ年金の受給額が多くなり、妻もそのメリットを享受できるわけですが、離婚した場合は妻のデメリットが大きくなります。婚姻期間が短い分、年金分割で受け取れる厚生年金の受給額が少なくなるのです。
具体的に、数字を挙げて比較してみましょう。
前出のように、Aさん、Bさん、Cさんは同じ50歳。ただし、3人とも妻の年齢と結婚に踏み切った自分の年齢が異なりますが、ここでは3人とも60歳になった時点で離婚したという前提で、それぞれの妻が受け取れる年金分割の額を計算してみました。
Aさん夫婦の場合、Aさんが60歳になったときの婚姻期間は35年です。按分した厚生年金保険料をベースに計算した厚生年金の受給額は年115万1010円なので、その半額の57万5505円がAさん妻の年間受給額になります。
Bさん夫婦は婚姻期間が30年で、按分した厚生年金保険料をベースに計算した厚生年金の受給額は年98万6580円ですから、その半額の49万3290円がBさん妻の年間受給額になります。
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