「10歳の時の罪」で18歳を拘束するサウジの異常 子どもたちの自転車デモを牽引しただけで

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国連人権高等弁務官によれば、サウジには未成年の時に犯したとされる犯罪に理由に死刑判決を受け、執行を待っている若者が少なくともほかに3人いたという。

今年に入り国営サウジ通信は37人の男性(うち33人がシーア派)の集団処刑を伝えた。処刑の理由は「過激派・テロリストのイデオロギーを受け入れ、治安を乱し混乱を広げ、教派間の不和を引き起こすためにテロ組織を形成した」というものだったという。

集団処刑を受けて国連はサウジを非難、人権団体はサウジの事実上のトップであるムハンマド皇太子が説明責任を負うべきだと声を上げた。

サウジでは昨年139人が死刑に

「サウジ当局には政治的反対派を粉砕し反政府デモ参加者を罰する武器として死刑を使ってきた恐るべき過去がある。彼らは迫害の対象である少数派のシーア派で、中には子どももいた」とマーロフは言う。

2019年4月の集団処刑は、2016年1月に行われたものに次ぐ規模だった。このときはテロへの関与を理由に47人が処刑された。この中にはサウジのシーア派に対する扱いを批判してきたシーア派聖職者も含まれた。

人権団体ヒューマン・ライツ・ウォッチが今年出した報告書によれば、サウジでは昨年、139人が死刑に処され、その多くは殺人や麻薬関連の犯罪(うち44人は暴力的でない麻薬犯罪)で有罪となっていた。

アムネスティ・インターナショナルの報告書によれば2019年1〜5月の間にサウジで死刑に処された人の数は少なくとも110人に上る。

(執筆:Megan Specia記者、翻訳:村井裕美)

(c) 2019 New York Times News Service

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