「10歳の時の罪」で18歳を拘束するサウジの異常

子どもたちの自転車デモを牽引しただけで

2017年に国連人権高等弁務官から死刑執行について照会を受けたサウジ政府は、死刑は法にのっとった手順に従うのはもちろんのこと、「最も重大な犯罪に限って適用が可能であり、最も厳格なコントロールの対象だ」と回答した。だが人権団体によれば、サウジでは軽犯罪であっても死刑が求刑されることがあるほか、政府の言うことを聞かない少数派の団体や活動家に対する罰として使われることもある。

「サウジ当局が、自国民の反対意見を抑え込むため手段を選ばないつもりなのは疑う余地がない。逮捕時に未成年だった人々への死刑執行もその手段の1つだ」とアムネスティ・インターナショナルの中東調査責任者のリン・マーロフは言う。

ESOHRによれば、ムルタジャは2014年9月に逮捕された。サウジでは少数派であるイスラム教シーア派の出身だという。ESOHRは6日、本件に関する詳細な報告書を発表した。

兄はデモ参加中に殺害された

サウジは国民の多数をスンニ派が占めるが、中でも政府はワッハーブ派と呼ばれる保守的なイスラム教の教えに従っている。ワッハーブ派はサウジの社会規範や政府、裁判所制度に大きく根を張っている。他方で政府は、しばしば国内のシーア派を迫害していると批判されている。

CNNは2011年の自転車デモでムルタジャが子どもたちの集団を率いている映像を放映した。当時ムルタジャは10歳だった。おりしも中東から北アフリカにかけての国々でアラブの春が最高潮に達していた時で、サウジ東部のシーア派住民の多い県でもデモが起きていた。これらのデモはしばしば流血や大量逮捕につながった。

ムルタジャは、シーア派が多数派を占める東部カティフ県の活動家の一家に生まれた。兄は2011年のデモに参加中に殺された。

逮捕から4年近くが経過した2018年8月、特殊刑事法廷でムルタジャの初の公判が開かれた。特殊刑事法廷は2008年に設立されたテロを専門に扱う法廷だが、人権活動家やデモ参加者が訴追されることが増えている。

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