「体内時計のズレ」を見過ごしてはいけないワケ 重要なのは何を食べるかより「いつ食べるか」

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体内時計をリセットする物質はいくつかあるのですが、その中の1つが血糖値を下げる働きを持つ「インスリン」と呼ばれるホルモンです。米、すなわち糖質をとると血糖値は上昇します。そしてそれを下げるためにインスリンが分泌されます。このインスリンが体内時計のリセットにつながります。ご飯のように消化の速い炭水化物は、インスリンの分泌を促し、ひいてはそれが体内時計のリセットにつながります。

魚もリセット効果の高い食べ物です。魚の油に含まれる「DHA(ドコサヘキサエン酸)」と「EPA(エイコサペンタエン酸)」が、「インクレチン」というインスリンの分泌を助けるホルモンを増やすことがわかっているのです。つまり、結果的に体内時計のリセット効果を持つインスリンの分泌を助けてくれる、というわけです。

そうはいっても、毎朝焼き魚は難しい……ですよね。それならツナ缶はいかがでしょう。マグロはDHAが多い魚の1つですから、パンの上にツナ缶を乗せて食べてもいいですよ。コンビニで朝ごはんを買う方は、シャケやツナマヨのおにぎり、ツナサンドでも。定食屋や牛丼屋の朝定食なら、「旅館の朝ごはん」をワンコインで実現できます。

朝のリセットタイミングにコーヒーは最高

最近は昔からの習慣が「科学的にもよかった」と証明されることが増えています。コーヒーもその1つです。朝のコーヒーは、あなたの体内時計のリセットに役立ちます。コーヒーに含まれるカフェインには、強い体内時計のリセット効果があるからです。ちなみに夜のコーヒーは、体内時計を遅らせる結果になりますから、コーヒーは朝飲むことをお勧めします。

このように同じものを摂取しても、その時間帯によって体への影響は大きく違います。カフェインのように、朝はプラスの影響があっても、夜はマイナスになってしまう、ということもあるのです。

朝・昼・晩の食事は「7時、12時、19時」が理想

これまでどんな朝食がいいかを見てきました。しかしそれにも増して重要なのが「いつ食べるか」ということです。正解は、

「夜の長い絶食時間を置いた後」

です。

朝食は英語でbreakfastですが、このfastには「断食」という意味があります。つまり朝食は本来「断食を終わらせる」ということ。夜食べない時間を長くとった後の食事が、そもそもの朝食、つまりbreakfastなのです。

私たちの体が何をサインに「これは朝食だから、体内時計をリセットしなくては」と考えるかというと、それはこの夜の長い絶食時間です。そのためにも、夕食から次の日の朝食までの時間を、1日のうちでいちばん長くとらなければなりません。

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