英語ができる人は「顔と体」をフルに使っている 子どものころから育てたい非言語表現

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一方、いま小学校などでは「Eye Contact」「Big Smile」「Use Gestures」などと黒板に貼られ、発語の際に必ずこれらの点を守るようにされている授業があります。子どもたちの気分がどうであっても、「Eye Contact」「Big Smile」「Use Gestures」とともに話さないといけないのは、自然な言語活動とはいえません。

ペアやグループになって友達同士で相談する際にも「英語で」と教師は要求し、本当に言いたいことも言えない心の状態で相談している授業もあります。小学校では子どもの発達段階を考慮し、学習者の心の状態が表現できる学び方をしたいものです。

英語学習にも有用なドラマ教育

英語教育学が専門の京都大学・柳瀬陽介教授は、コミュニケーション能力は、「相手の心を読む力×体を使う力×言語知識」から成り立つと言っています。つまり、コミュニケーションする際に言語知識(発音、語彙や文法など)は必要ですが、それだけではうまくできず、円滑なコミュニケーションのためには、相手の心を読む力や、体や表情を生かして表現する力が必要だということです。

そう考えたとき、一般的な日本の学校では、「コミュニケーション能力」をどれくらい実践的に身に付けることができているでしょうか。国語でも英語でも、言語知識を学ぶことは従来から重視され、子どもは学んでいます。しかしながら、相手の心を読むことや、体を使うことは、実践を通して身に付けることが大切ですが、なかなかそのような学びは日本では少ないのが実情です。

イギリス、アメリカ、オーストラリアなどの学校では、「ドラマ教育」という教科を行っています。ドラマ教育は、日本の演劇教育とは異なります。演劇教育は台本が用意されていて、それを上演することを目的とする、いわば芸術活動なのに対し、ドラマ教育は教育的な目的を持つ活動です。指導者は教えるのではなく活動がスムーズに進むように促す立場で、子どもたちが自らドラマを作っていくことになります。

題材は年齢によって異なりますが、絵本や物語、学校での問題から選挙や公害といったような社会的な問題にわたります。台本の有無にかかわらず、どの年齢においても参加者が自らドラマを作っていく形になっているため、子どもは自ら話したい欲求にかられ、そこから言葉が発達するようになります。

また、参加者は実際に役を演じるため、表情やジェスチャーなどを駆使して、感情を乗せながら体を使って言葉を発することになります。つまり、体の動きなどの非言語表現を、自然に体得できるわけです。

ドラマ教育は、英語学習にも有用といえます。柳瀬教授曰(いわ)く、コミュニケーションする英語を身に付けるには、体と言葉が共鳴し、実感を伴う英語学習が必須。つまり、演劇的要素を取り入れて、体を使いながら学ぶと、英語をより実感の伴う形で身に付けることができるといえます。とりわけ、幼い年齢で英語も学ぶとき、この視点は重要でしょう。

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