れいわ新選組は「日本新党ブーム」再来なのか 大手メディアが無視する「れいわフィーバー」

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地方選挙ではあるが、2014年2月の東京都知事選でも同じことが起こった。猪瀬直樹知事の金銭スキャンダル辞任で、自民党は舛添要一氏(のちに都知事辞任)を擁立、これに対して原発反対を掲げた小泉純一郎元首相が同じ考えを持つ細川氏を対立候補に押し立てて挑んだ。

国民的人気の衰えない小泉氏の突然の参戦を脅威とみた政権与党は、総務省を通じて各メディアに「候補者以外の人物の映像は流さないように」との趣旨の通達を出し、メディアもそれに従った。その効果もあってか、選挙戦は与党の推す舛添氏が圧勝。細川氏は3位に終わり、元首相コンビの挑戦はあえなく挫折した。

増え続けるネットのアクセス数

自慢のライオンヘアーに降りしきる雪が積もる中、傘も差さずに街宣車の上で絶叫し続けた小泉氏の映像を、各民放テレビは開票日翌朝のワイドショーで延々と流した。この状況を知る山本氏は、街頭演説に駆けつけたテレビクルーなどに対し、「(選挙が)終わってから(映像を)流しても意味がない」と訴えているが、各メディアが応じる気配はない。

ただ、れいわが今回議席を獲得すれば、次の衆院選や参院選では既成政党と同様に扱わざるをえない。選挙戦に入ってからの各党党首の政見放送動画でも、インターネットでのアクセス数は山本氏が首相も含めた他党党首を圧倒。連日ユーチューブでアップされている山本氏の街頭演説動画の視聴数も、日を追って拡大している。

7月21日の投票日に、梅雨明け間近の永田町の夜空をれいわが打ち上げた大輪の尺玉が飾るかどうか……。政界関係者は息を潜めて結果を見守っている。

泉 宏 政治ジャーナリスト

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いずみ ひろし / Hiroshi Izumi

1947年生まれ。時事通信社政治部記者として田中角栄首相の総理番で取材活動を始めて以来40年以上、永田町・霞が関で政治を見続けている。時事通信社政治部長、同社取締役編集担当を経て2009年から現職。幼少時から都心部に住み、半世紀以上も国会周辺を徘徊してきた。「生涯一記者」がモットー。

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