高齢者の「うつ病」ほど早期治療が必要な理由 女性の「4人に1人」がうつでもおかしくない

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もし、コレステロールを減らすように努めると、体の免疫機能が落ちるので、むしろがんは発症しやすくなってしまいます。実際、コレステロール値が低い人ほどがんになりやすいというデータもあるほどです。

日本では、がんでの死亡率がいちばん高いのですから、コレステロール値を減らすことばかりを目標のように言うのは考えものです。コレステロールを減らすという対策は、男性ホルモンも同時に減らしてしまうので、いろいろな意味で有効とは思えません。

女性は「4人に1人」がうつ病に

WHO(世界保健機関)によると、世界中でうつ病に苦しんでいる人は、世界人口の5%に達するといいます。アメリカ精神医学会の調査では、男性の2~3%、女性の5〜9%がうつ病にかかっていると推計されています。

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生涯罹患率では、最大で男性12%、女性25%がうつ病にかかるというのですから、女性の場合、一生涯で見ると「4人に1人」が一度はうつ病にかかっていても不思議ではないということになるでしょう。

うつ病が「心の老化」の1つの症状として発症する病気であることは確かですが、「人に言えない病気」と考えて、対策が遅れることがあるのも問題です。

治療法がない代わりに、じっくり構えて進行を遅らせることが有効な対策となる認知症などとは違い、うつ病には効果的な治療法も数々あるので、とにかく「早く医師に相談する」「早期に治療する」ことが大切です。

うつ病の兆候があれば、本人や家族の「うつ病はよくなる! だから、素早く対応して、きちんと治す!」という意思が大事なのです。

和田 秀樹 精神科医

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わだ ひでき / Hideki Wada

1960年、大阪府生まれ。東京大学医学部卒業。精神科医。東京大学医学部附属病院精神神経科助手、米国カール・メニンガー精神医学校国際フェロー、浴風会病院精神科医師を経て、現在は和田秀樹こころと体のクリニック院長。高齢者専門の精神科医として、30年以上にわたって高齢者医療の現場に携わる。『70歳が老化の分かれ道』(詩想社新書)、『80歳の壁』(幻冬舎新書)、『60歳からはやりたい放題』(扶桑社新書)、『老いたら好きに生きる』(毎日新聞出版)など著書多数。

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