高齢者の「うつ病」ほど早期治療が必要な理由 女性の「4人に1人」がうつでもおかしくない

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これが、「高齢者の自殺率の高さ」につながっていると私は考えています。全自殺者の4割以上は高齢者という推計もあります。うつ病は治療できるものなので、多くの高齢の自殺者が、早期治療によって早まった「選択」から救われるはずです。

うつ病にならないための基本習慣

うつ病はある程度は予防できます。その基本は、毎日の生活から、です。
まずは「食生活を工夫する」ことから始めるのがいいでしょう。それには、うつ病の原因の1つではないかと考えられている、神経伝達物質セロトニンの不足を補うのがポイントです。

セロトニンの原料はタンパク質の材料となる必須アミノ酸の1種であるトリプトファンなので、「肉や魚、大豆製品を意識して食べる」ことをお勧めします。

セロトニンは、コレステロールを増やすことでも脳内により効率よく運ばれると考えられています。コレステロールは、男性ホルモンの材料でもありますから、増やすことでさまざまなメリットがあるのです。

検査データのコレステロール値を「目のかたき」のように減らそうとする傾向が日本にはあります。私は、これはそもそも間違った傾向だと思っています。

心筋梗塞で死ぬ人が日本人に比べて圧倒的に多いアメリカ人は、確かにコレステロール値が高すぎる人は減らしたほうがいい場合があると思いますが、日本人はまず、そんな心配をする必要はないでしょう。

というのも、アメリカ人は1日平均約300グラムの肉を摂取しているといわれますが、日本人は約80グラムしか食べていません。沖縄の人は約100グラム、ハワイの日系人は120グラム摂りますが、彼らが長寿であることを考えると、むしろ少なすぎるというのが私の考えです。

また、アメリカではがんで亡くなる人の1.7倍の人が心筋梗塞で亡くなっているのですが、日本人は心筋梗塞で亡くなる人は、がんの半分程度です。よくいわれる、コレステロールを減らそうというのは、心筋梗塞を予防する、という意味合いが強いのです。

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