従業員逮捕、社長辞任、マルハニチロ視界不良 2時間超す会見でも不明、農薬混入事件を覆う霧

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4月1日にはマルハニチロHDと子会社5社の合併で、新たにマルハニチロ株式会社が発足する。新会社では工場ごとにバラツキのある管理体制をどれだけ共通化し、さらなるレベルアップを図れるかが、信用回復の一歩となるだろう。

目下、グループ工場では外部専門機関による食品安全管理状況の再点検も行っており、1月31日には社外有識者による第3者検証委員会を立ち上げ、グループ全体の危機管理体制も見直すという。

マルハニチロHDの久代社長(左)とアクリフーズの田代社長。4月に発足する新会社のトップに就く伊藤副社長は姿をみせず

今回の辞任表明について、久代社長は「たいへん世間を騒がせ、不祥事を起こしたという責任を痛感している」とし、同時に辞任するアクリの田辺社長も「従業員から容疑者が出る事態となり、痛恨の極み」と述べた。

ただ、4月予定の合併に伴い、マルハニチロHDとアクリは消滅するため、もともと2人が退くことは決まっていた。本来は、新会社であるマルハニチロの取締役相談役に久代社長が、田辺社長もグループ会社の会長に就任予定だったが、今回の一件でこれが撤回された。

次期社長は会見に姿を見せず

久代社長は、新会社発足で「新しい会社のガバナンス(統治)を効かせ、職場風土や品質保証体制を数段上のものにしていきたい」と話す。だが、新会社社長に就任予定のマルハニチロHDの伊藤滋副社長は会見に姿を見せなかった。

「今回の件で出席する必要はないと考えた」(マルハニチロHD広報IR部)というが、「一刻も早くブランド力を回復したい」(久代社長)ならば、新たな会社を率いる伊藤副社長こそが、今後の方策や信頼回復の手立てを説明する必要があったのではないか。

社長辞任にあわせて、マルハニチロHDでは2014年3月期の連結業績見通しも下方修正。売上高を8400億円(前回予想比50億円減)、営業利益115億円(同35億円減)、また純利益45億円(同25億円減)とした。農薬混入事件による影響は減収幅100億円、営業減益幅22億円、特別損失で35億円になる見込みだ。

アクリの工場再開のメドが立たず、信頼回復にも時間を要するため、2015年3月期も事件の影響が残るのは必至。また、農薬混入の経緯が明らかになってくれば、問題は安全管理だけに止まらない可能性もある。

田野 真由佳 東洋経済 記者

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たの まゆか / Mayuka Tano

2009年に大学を卒業後、時事通信社を経て東洋経済新報社に入社。小売りや食品業界を担当し、現在は会社四季報編集部に所属。幼児を育てながら時短勤務中。

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