広島、豪雨被災地を支えた「臨時バス」の舞台裏 「災害時BRT」の経験、今後にどう生かすか

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災害時の臨時輸送が終わったからプロジェクトは終わり、ではない。むしろ災害時BRTを発端とした交通マネジメントの取り組みはいまも続いており、この7月には当時の検証も含めたイベントも行われる。むしろ、この災害時BRTを発端としたプロジェクトから、公共交通利用促進に関する取り組みが今も継続的に行われているといってもいい。

伊藤特任講師は今回の取り組みを振り返り、「情報提供に関しては華やかな話ではないし、反省点や壁を感じることもあった。しかし、今までは情報提供まで見えていなかった災害時輸送にまだまだやれることがあるということを示した」と語る。

「運命の72時間」が重要

この災害時BRTをめぐる一連の動きを振り返り、神田教授は4つのポイントを語った。

まずは「災害が発生してから72時間以内の動き方」だ。災害発生後の72時間は「運命の72時間」といわれ、人命救助が最優先となる。そのため、公共交通関係者はできることがあまりない。だが、神田教授が今回の災害時BRTに関する一連の取り組みを通じて強く感じたのは、この72時間の間にどれだけ作戦を立てられるかが重要だということだ。

呉方面への車で渋滞している広島呉道路坂北ICの出口(写真:神田佑亮)

「まず、どこで道路が崩れたのかという情報をいち早くキャッチすること。人を国道事務所や県などに送り、自分たちが必要な情報を収集しないといけない。次にバス事業者そのものとドライバーを含めた安否確認をする。この2つが何よりも最優先。そこからバスをどのように走らせるか、バスやドライバーを集めるかという形になる」(神田教授)

そして、実際に動く際には「人のつながり」が重要だ。西日本豪雨の当時、神田教授は呉高専に着任して2年目。着任当初から県や運輸局などと一緒にプロジェクトに取り組んでいたため、ある程度地域の関係者はわかっていたが、今回の災害時BRTの関係者すべてとつながりがあったわけではないという。「いざというときに『あの人に頼めばなんとかしてくれる』とか『これはあの人が担当している』というのがわかると話が早く進む。日頃から広さや深さのあるつながりがあればあるほどいい」と神田教授は振り返る。

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