広島、豪雨被災地を支えた「臨時バス」の舞台裏

「災害時BRT」の経験、今後にどう生かすか

だが、課題は大きく2つあった。1つは広島から呉へのバスの所要時間短縮だ。

広島から呉への所要時間は、神田教授の研究室が7月23日に行った調査によると最長2時間半かかり、朝のピーク時間帯はほとんどの便が1時間50分以上かかっていた。渋滞する箇所を避けて通れないためで、新たな工夫が必要となった。

坂北ICから国道31号呉方面に設けられたバスレーン(写真:神田佑亮)

そこで神田教授が提案したのがバス専用レーンの構築だ。広島呉道路はこのときすでに、広島市寄りの仁保JCT―坂北IC間約2.6kmが再開していたが、坂北IC付近の約1kmは、出口への誘導のため片側2車線のうち左側の1車線しか使用していなかった。そこで規制位置を変更し、災害時BRTのバスは右側車線を通行できるようにした。7月24日に提案し、26日から早速実行。これで15分ほど所要時間を短縮できた。

さらに、8月9日からは朝ラッシュ時間帯に限り、渋滞の激しかった国道31号の坂北IC入り口付近約1.3kmにバスレーンを構築した。片側2車線のうち1車線をバス専用にしたのだ。これは20分ほどの短縮効果を生んだ。神田教授は、「いちばん渋滞のひどいところで1車線をつぶしてバスレーンを作ったので、車の利用者から文句が出るのはわかっていたが、車から見てバスのほうが速そう、だからバスを使おうと感じてほしかった。バスレーンにはその意味もあった」と話す。

運行実績をまとめてWebに

もう1つの課題は、代替交通に関する情報提供体制の整備だ。広島―呉間の交通手段は災害時BRTをはじめさまざまな代替交通が運行されるようになったが、発車時間や所要時間などの情報をインターネットなどで検索するのは難しく、バスは日によって運行できる台数など状況が変わることもあり、ダイヤを公表していなかった。

JR呉線代行バスが始まった7月21日から8月1日までの広島―呉間の公共交通の状況(筆者作成)

そこで神田教授が行ったのが、バスの所要時間情報の提供だ。広島電鉄の高速バスは同社が教授の指導の下で情報をまとめて公開していたため、教授は研究室の学生とともに、JRの代行バスについて情報収集と公開を進めることにした。

神田教授は「(渋滞などで)ダイヤはわからないが、今日はこの時間で走ったというデータがあれば、翌日もこの時間で動くだろうと推察できる」と考え、運行実績情報を公開することにした。学生を広島駅と呉駅に派遣し、代行バスの出発時刻と運行会社、バスのナンバーをWebアンケートのツールを使って入力させ、まとめた情報を研究室のホームページに載せた。

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