ファブリーズ「瞬間お洗濯」広告が消えた裏事情

「適格消費者団体」の活動が与えた影響とは

「瞬間お洗たく」というシールが貼られ、以前販売されていたファブリーズ。発売当時の2017年9月のニュースリリースにも注意書きで「*消臭する工程を洗濯と比較。汚れを落とす訳ではありません。」と書かれている(画像:P&Gのニュースリリースより)

 P&G(プロクター・アンド・ギャンブル・ジャパン)が2017年秋に全面リニューアルして新発売した「ファブリーズ」の布用消臭・除菌スプレーシリーズ。

「瞬間お洗たく」や「新!ファブリーズで洗おう」というキャッチコピーによるたくさんの広告は多くの消費者に注目された。洗いにくい布製品などにファブリーズを吹きかけただけで洗濯効果があれば、こんなに便利なものはない。消費者の目を引くはずである。

一方、販売当時からSNSなどで疑問の声も上がっていた。スプレーで液剤を吹きかけただけで汚れが落ちるわけはないと思われるからだ。

ファブリーズの「瞬間お洗たく」を見なくなった背景

実は、これを問題視した関西の消費者団体が、2017年12月からこの広告が景品表示法上の不当表示にあたる可能性があるとして、P&Gに問い合わせをし、約1年半にわたりやりとりをしていたのだ。2019年4月23日に広告変更についての両者の合意がなされたために、テレビコマーシャルなどで広告を見かけなくなっていた。その経緯を見てみよう。

P&Gに問い合わせをし、その後やりとりしていたのは、消費者支援機構関西(大阪市中央区)だ。消費者団体というと、会員数の低迷により消費者運動も停滞しており、さしたる影響力はないのではないかと思われがちだ。しかし実は企業にとって消費者庁などのお役所以上に怖い存在かもしれない。

消費者支援機構関西は消費者団体訴訟制度上の特定適格消費者団体の認定を受けている。その法的権限ゆえに、企業としては無視できない存在なのだ。

どんな権限が民間団体である消費者団体にあるのかと思う消費者も多いだろう。消費者団体訴訟制度が2007年に創設され、消費者団体に不当な契約条項や不当行為等に対する民事裁判での差止請求訴訟を起こす権限が与えられたのだ。

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