トヨタが超高級「スーパーカー」を投入する意味 「レーシングカンパニー」が目指すものとは

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TOYOTA GAZOO Racingは、6月に行われた ル・マン24時間レースで2連覇を果たした(写真:トヨタグローバルニュースルーム)

TOYOTA GAZOO Racingが昨年に続く2連覇を達成した2019年のル・マン24時間レース。その決勝スタート前に行われたブリーフィングで、GAZOO Racing Companyの友山茂樹プレジデントは、2020-2021年シーズンから導入されるル・マン、そしてWEC(世界耐久選手権)の新しい最高峰クラスへの参戦を発表した。

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注目すべきは、ハイパーカークラスと呼ばれるこのカテゴリーにTOYOTA GAZOO Racingが投入するのが、市販前提のモデルだということである。2018年1月の東京オートサロンでは、現行のWEC参戦マシンであるTS050ハイブリッドをベースに一般公道走行可能としたGRスーパースポーツコンセプトを発表していたが、このハイパーカークラスには現在開発中の新たなマシンで挑む。そして、のちにこのマシンをベースとする市販車を発売するという計画だ。

モータースポーツにますます力を入れ、そして販売価格は1億円をくだらないであろう、こうしたモデルを発売しようとしているGAZOO Racing Companyの狙いは何か。GRブランドの目指すものは何かを友山プレジデントに、ル・マン24時間レース中のル・マン、サルテ・サーキットにてあらためて聞いた。

「レーシングカンパニー」と名乗る真意

「このクルマは、これまでのトヨタのクルマづくりとは違って、レースフィールドにあるクルマからロードゴーイングバージョンを作る。しかも、衝突安全性とか法規要件は入れなきゃいけないけれど、できる限り近いものをそう遠くない未来に出します。実際にル・マンのレースで戦っているクルマに公道で乗れるというところが、われわれがスーパーカーという領域に新しく入っていく中で一番の価値だと思いますし、そうしなければダメだと思います。スーパーカーのビジネスと、WEC、ル・マンとは表裏一体。両方とも重視していく」(友山氏)

GAZOO Racing Companyは通常のマニュファクチャラー(自動車メーカー/ブランド)ではなく、レーシングカンパニーだ。友山氏はつねにそう発言している。単にレースに出るのではなく、レーシングカーと市販車が一体だというのが、その真意なのだ。

「GAZOO Racingはピュアスポーツで、レースフィールドからクルマを作っていく。コンペティションで培ったノウハウと、そこで鍛えたエンジニア、メカニックを使ってやるということですね」(同)

モータースポーツを継続的に行うこと。それがGAZOO Racing Companyのビジネスの根幹にあるテーマだ。では、なぜモータースポーツを継続的に行うのか。マーケティング? 技術のアピール? しかし一番に挙げられたのは、それとはまったく異なる答えだった。

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