30歳までに1000万貯めた人が語る「貯蓄5鉄則」 本気で2000万円貯めたいなら何をするべきか

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もし246万円を単純に預貯金で積み立てるとどうなるか。30年で貯めるとすると、年間8万2000円が必要で、月額なら6833円だ。投資で積み立てる元本は5000円だったので、その差は1800円強となる。投資しなくても、1800円加えて積立定期で貯めてもよさそうな……?

いや、筆者は投資が嫌いなわけではない。むしろお勧めしている派である。しかし、自分が1000万円貯めると決めたときは、運用そのものよりも貯蓄に回す元本を増やすことに重きを置いた。なぜなら、単純に計算できるからだ。

投資とはいえ、積み立てする以上は元本で変化する。2000万円に達するには年2%リターンで計算すると30年間に必要なのは月4万円ほどになる。3%だと約3万4000円だ(運用利率は確定ではないので、あくまで期間中は年2%あるいは3%を維持できたと想定した場合)。これが預貯金(金利0%で想定)なら月5万5555円となる。やはり劇的というほどの大差はない。

いやいや、毎月5万円なんてとても無理だという声もあるだろう。筆者も初めは月5000円からだった。しかし、分割払いが終わったらその分を上乗せして1万5000円に、転職して収入が上がったら差額の数万円を上乗せして……と、徐々に積立額を増やしていった。

投資だけが資産形成の唯一の方法というわけではない。運用はマーケットに利回りを左右される、いわば人任せの他力本願手法だ。毎月の積立額を増やすことは、工夫次第で自分でもできる。その方が確実である。

無理なく柔軟に、「続けられる」貯蓄を

NGその5 何があっても貯蓄に手をつけない

まじめな節約家庭が陥りがちなのがこれだ。貯まったお金には手をつけない。生活が苦しくても、積立額は死守する。しかし、これで実質赤字になっている家計をずいぶん見てきた。

月末が苦しくなればカード払いで先延ばしにし、半年後のボーナスでやっと一息、というパターンが多い。すると今度は、ボーナスからの貯蓄ができない。ボーナスは貯蓄額を一気に増やせる貴重な原資なのに、もったいなくも赤字埋めに消えてしまうのだ。

家族が増えたり働き方が変われば、収入も支出も変動する。それにもかかわらず、いったん決めた貯蓄額を見直したくないと頑張りすぎると、かえって目標達成が遠のくことになる。身の丈に合わない貯蓄額なら思い切って減額したほうがよいだろう。

また、せっかく貯まったお金に手をつけたくないという気持ちも生まれる。しかし、それで急な出費にカード決済や分割払いが増えてはまずい。貯蓄には2種類あるべきだ。長期目標で貯めるものと、短期で使うためのものがそれだ。

使うための貯蓄は、いわば“現金保険”で、困ったときや特別な支出が発生したときに惜しみなく使えるお金を指す。たとえ毎月5000円ずつでも積み立てていけば年6万円になる。3年も続ければ18万円だ。先取り貯蓄が難しいというなら、給料日前に口座に残った残金や食費の残りを取り分けておくだけもいい。10万~20万円でも「使っていい貯蓄」があると心強いものだ。手をつけたくない2000万円用の貯蓄のほうにも身が入る。

貯蓄は無理をすると続かないものだ。だから、収入が上がったらその分を上乗せする、終了した毎月払いがあればその金額もプラスする。保険や通信費の見直しで支払いが減ったらそれも加える。そのように、浮いたお金を支出ではなく貯蓄へ上乗せすることで、生活自体を変えずに貯蓄額を増やしていくのが一番ラクなのだ。

筆者自身はその方法だけで貯蓄を増やすことができた。もちろん、収入が減った時期は積立額も減らした。そこは柔軟にやるべきだろう。

2000万円は小さな金額ではない。だからこそ長い時間をかけて、無理なく続けられる貯め方で実現してほしい。

松崎 のり子 消費経済ジャーナリスト

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まつざき のりこ / Noriko Matsuzaki

20年以上にわたり『レタスクラブ』『レタスクラブお金の本』『マネープラス』などのマネー記事を取材・編集。家電は買ったことがなく(すべて誕生日にプレゼントしてもらう)、食卓はつねに白いものメイン(モヤシ、ちくわなど)。「貯めるのが好きなわけではない、使うのが嫌いなだけ」というモットーも手伝い、5年間で1000万円の貯蓄をラクラク達成。「節約愛好家 激★やす子」のペンネームで節約アイデアも研究・紹介している。著書に『お金の常識が変わる 貯まる技術』(総合法令出版)、『「3足1000円」の靴下を買う人は一生お金が貯まらない』(講談社)、『定年後でもちゃっかり増えるお金術』(講談社)。
【消費経済リサーチルーム】

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