ナベプロと吉本「闇営業対策」で明暗分けた大差 ザブングルは徹底した危機管理に助けられた

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「これぞダメージコントロール」と言える対応であり、同社や2人にとって金銭的なダメージが小さいにもかかわらず、人々の印象は劇的にアップ。騒動によるダメージどころか、「ナベプロはお金の感覚がしっかりしている」「彼らのやることに間違いはないのだろう」というプラスのイメージを抱かせることにつながっています。

次に2人の現在と今後についても、ナベプロはスキのない対応を見せました。

書面では「本人たちとの話し合いの中で、謹慎期間中は、ボランティア先を見つけて活動する等の社会貢献を行い、自分自身を真摯に見つめなおすと共に、今回の件について真剣に反省し、人として成長できるようにしたいとの申し出がありました」と本人たちの意思を説明。

これまでに彼らが発表したコメントは「よく見る謝罪の定型文」というイメージにすぎませんでしたが、今回は適切な対応をした所属事務所が彼らの意思を代弁したことで、人々に「本当に反省してそう思っているのだろうな」という感覚を持たせました。

また、「弊社としても本人たちと話し合いながら、ボランティア先を探している」「ボランティア活動以外の時間においては、両名が社会人としての常識を高めることができるよう、弊社の事務サポート業務等を行わせる予定」という補足文も抜かりなし。書面の発表後に発生するであろう、「ボランティア先はどこなのか」「ボランティア以外の時間は何もしないのではないか」などの疑問や臆測を未然に防いだのです。

「8月末日まで」謹慎期間を最後に書いた理由

ナベプロは書面の最後で、「今回の事件の重大さを痛感しておりますが、過ちを犯した所属タレントに対しては、過ちを厳しく追及し、真摯に反省させ、今後同様の行為が行われないよう再発防止策を講じることが多くのタレントを抱える芸能プロダクションとしての弊社の役割、使命であると考えております」と力強く宣言しました。

さらに注目すべきは、直後のコメント。「本人たちが今回の事態を重く受け止め、反省し、両名より社会貢献を行う等の申し出がなされたこと等を勘案し、弊社としてはザブングルの謹慎期間を2019年8月末日までとすることと致しました」と具体的な謹慎期間を明記したのです。あえて最後に配置したのは、人々が知りたいことをすべて書き、力強い宣言をしたあとに書くことで、「謹慎期間が短いのではないか」という印象を持たれにくくするためでしょう。

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