ステアリングスイッチでD(ドライブ)を選択。そろりとアクセルを踏むと、右足に完全同調した前後モーターの回転がレーシングギヤボックスを介し駆動力として生み出され4つのタイヤをゆっくりと回す。一般的な2ペダル方式のレーシングマシンと同じく右足がアクセルペダル、左足がブレーキペダルと両足コントロールでのドライビングポジションで設計された。
直線路で車体が前を向いてから一気に全開になるまでアクセルペダルを踏み込む。2011年9月に試乗したRC_01と比べると踏み込んでから2秒後あたりまでの躍度は格段に大きい。筆者は愛車として大型バイク(1200cc)にも乗っているが、設計値では0→100km/h加速タイムがRC_02に近い3秒ちょっと。仮にタイムを競えば拮抗するのだろうが、停止状態からの加速は断然RC_02が速く、これぞ電動駆動の魅力だと痛感した。
アクセルペダルを戻すと回生ブレーキが発生する。「回生力は調整可能ですが、基本は内燃機関モデルのレーシングカーと同等の減速度です」(開発担当者)とのことで、試乗時の回生力はそれほど強く設定されていなかった。続いてブレーキペダルをジンワリ強めに踏んでみる。当然ながら踏力に応じて減速度が強まり、RC_02はABSが未装着であるためそのまま踏み続ければ車輪はやがてロックされる。
BEVの方が車両姿勢は安定
テストコースなのでそのままじんわり踏力を増やし続け、以前から確認してみたかったBEVにおける瞬間的なブレーキロックからのグリップ回復力をテストした。安全性を考慮してタイヤの停止時間は概算で0.15秒程度(車速と路面のブラックマーク長から計算)と一瞬に留めたが、やはり内燃機関モデルとの違いがあった。ロック後、ペダル踏力を緩めると車輪はすぐさまモーターの管理下におかれタイヤは瞬時に回転を取り戻す(RC_02は前後ツインモーター方式)。よって車両姿勢は安定したまま。対して内燃機関モデルではロックさせてしまうと、車両の特性やトランスミッション形式にもよるが、エンジン停止→エンジン再始動という流れを経てからタイヤが回転を取り戻すため、路面状況によっては姿勢を乱しやすい。
コーナリング重視バージョンでの試乗であったものの、残念ながらコースの関係で制限がありカーブでの性能を100%体感することはできなかったが、それでも439.7kg(市販車リーフ「e+」が搭載する62kWhのバッテリーパック総重量/日産資料より)もあるバッテリーが車体中央部に縦型配置されていること、モーターとインバーターが前/後輪の上に集約されていることなどから、砂の浮いた荒れた路面でも非常にスムーズにカーブを走行することができた。
「NISSAN LEAF NISMO RCのポテンシャルを広く皆さんにお伝えし、日産のBEVに対する期待値を高めて頂きたいと考えています。また、この先の発展が期待できるEVレースなどのパフォーマンス・リファレンスとしてこのNISSAN LEAF NISMO RCの立ち位置が採用されたらいいな、そんな夢も抱いています」(前出の開発者)という。短時間ではあったが、筆者にとってBEVの潜在的なスポーツ性能を体感する絶好の機会となった。
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