「60歳の定年Hanako」が失う「3つの大切なもの」 「職場を去る」ときまでに気をつけておくこと

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営業をしている方々は「職場」よりも「顧客」のほうが自分の能力を知ってくれているとおっしゃるかもしれません。そう思うあなたはきっと営業成績のよいセールスパーソンだと思います。

ただ、「顧客」はあなたの強みを、「会社」の信用や技術力・サービス提供能力などを含めた「○○会社の××さん」として認識していることが多いので、「個人」としてのあなたの能力をどこまで評価・認識しているかは、微妙といわざるをえません。「職場の人たち」に続き、「顧客」も失うことになるかもしれません。しかし、「顧客」は次の仕事につながる大切なキーワードです。心に留めておいてください。

そして、失うものの3つ目が、長年の経験や専門性を生かせる「場」です。これら3つを一気に失えばとても不安になるため、60歳定年を迎えた方の多くが1年契約の嘱託社員として働いています。

実際に、昨年11月に公表された「高年齢者の雇用状況」によれば、定年到達者に占める継続雇用の割合は8割を超え、1年間(2017年6月1日~2018年5月31日)で約29万人が新たに継続雇用者になっていました。女性の状況を取り出してみると、定年を迎えた女性は定年到達者全体の3割弱で11万人、そのうち継続雇用者が9万5000人ですから、継続雇用比率は男性よりやや高いといえます。

これは、女性が持つ“子どもを産み育てる本能”から、現状を守り維持することを好み、環境変化は好まない傾向があるということも影響しているのかもしれません。しかし、いつか会社を離れる日が来るならば、会社ではない場で社会に必要とされ、働く場、それもできる限り細く長く働けるほうが、精神的にも身体的にも経済的にも、よさそうな気がします。女性のほうが男性よりも定年後は長くなると予想されるからです。

待っているだけでは新しい居場所は見つからない

では、職場を去った後、新しく働く場をどう探すかですが、まずは「自分がやりたいこと」と「世間に必要とされる自分の価値・強み」について知るための行動が必要です。ただ、待っているだけでは、仕事や働く場はやって来ないからです。

「自分がやりたいこと」を持っている人は、まずそれに挑戦してみましょう。私の場合のそれは「野菜ソムリエになること」でした。「食」の楽しさ・大切さを「野菜」を通じて多くの方と共有したいと思い、資格の勉強をしながらその周辺の情報収集をしてみました。

そうして「自分のやりたいこと」に近づくと、遠くからぼんやりと抱いていたのとは違う現実がいくつも見えてきます。「これは私がやりたかったことと違う」とか「ここで稼ぐためにはこんなことも必要なのか」といった新たな気づきによって「この分野で自分がどうしたいのか」という核の部分がようやく認識できてきたのです。

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