スバル「5代目フォレスター」発売1年の通信簿 販売構成比率はガソリン車よりHVのほうが上

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実際、本格的4輪駆動車で限界の走行を試す専用コースで試走したことがあるが、X-MODEを使うことにより、速度調整さえ慎重に行えば誰もが安全に走破できる能力を発揮する。

フォレスターの運転席(撮影:風間仁一郎)

ほかのSUVでは、悪路走破を主体とする本格派4輪駆動車に比べ、悪路での走行性能ではやや見劣りのするのが一般的だ。フォレスターは、永年の4輪駆動技術を積み上げ、独自の悪路走破性を実現してきた経緯がある。

そこに、近年ではマツダがCX-5などでの4輪駆動性能を高めてきた。目指したのは、スバルの4輪駆動車の性能だ。競合の動きを意識して、スバルもさらに精緻な4輪駆動制御へ進化させ、それがフォレスターに適用されている。

こうした非日常的な4輪駆動の機能や性能については、トヨタも意識し、最新のRAV4で新しい4輪駆動制御を実用化している。そのように、フォレスターは競合他社に指標とされる4輪駆動性能を備えてきたのである。

アメリカでも販売は好調

このフォレスターの人気は、主力市場となる北米でも手堅いようである。アメリカは、都市部を離れると茫漠とした荒野が目の前に広がる広大な国である。このため、SUVの人気も見た目だけでなく実用の部分を含め高く維持されている。そうした中で、フォレスターはもとより、レガシィのアウトバックもスバル人気を二分する人気車種である。

新型の5代目フォレスターは、昨年秋からのアメリカ販売開始であったにもかかわらず、2018年の販売台数は前型を含めて年間17万1000台強、アウトバックは17万8000台強という結果だ。販売台数の実績からも、両車は人気を二分している様子が見えてくる。

なおかつ、フォレスターは秋以降の新型投入にもかかわらずアウトバックと近い販売台数といった棲み分けであるから、新型で販売が進む今年の実績ではフォレスターがアウトバックを上回るかもしれない。

そうなれば、日本とアメリカでフォレスターは最量販車種になる。フォレスターは、同車の狙い通り盤石の商品力を持つと評価できるだろう。発売開始から1年の成果としては、“花丸”といえるのではないか。

御堀 直嗣 モータージャーナリスト

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みほり なおつぐ / Naotsugu Mihori

1955年、東京都生まれ。玉川大学工学部卒業。大学卒業後はレースでも活躍し、その後フリーのモータージャーナリストに。現在、日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員を務める。日本EVクラブ副代表としてEVや環境・エネルギー分野に詳しい。趣味は、読書と、週1回の乗馬。

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