京丹後市「上限200円運賃」は地方交通の革命か 補助金をうまく使えば利用拡大が期待できる

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北近畿タンゴ鉄道ではこの間も、活性化のためのさまざまな手を打ってきた。

車両では1990年、自社開発の気動車KTR001形によるJR西日本山陰本線への直通特急列車の運行を始め、6年後には福知山―天橋立駅間の電化・高速化完了でJR西日本の特急電車が乗り入れることに合わせ、新型特急気動車KTR8000形を投入している。

新型特急車両の観光列車「丹後の海」(筆者撮影)

後者については京都丹後鉄道になった2015年から、インダストリアルデザイナー水戸岡鋭治氏によるリニューアルが行われている。「丹後の海」という愛称にふさわしく車体はブルーとなり、車内は木を多用した和風テイストに変貌した。

北近畿タンゴ鉄道のスタートに合わせて導入された普通列車用気動車KTR700・800形も、2013年から一部が水戸岡氏によりリニューアルされ、観光列車「あかまつ号」「あおまつ号」「くろまつ号」となっている。このうちくろまつ号は予約制のレストラン列車として運行している。

鉄道は65歳以上の高齢者限定

こうした観光客向け振興策と合わせ、地元住民向けのサービスとして導入したのが上限200円運賃だった。

バスと違うのは65歳以上の高齢者限定であることで、市の援助を受け、2011年に土日祝日の実証実験を開始し、翌年平日に拡大。2013年には丹後全域で本格適用をスタートしている。利用に際しては、パンフレットから切り取った200円レール切符と運転免許証、健康保険証などの身分証明書が必要となる。

筆者が乗車した際にも窓口で200円レールを申し込む高齢者がおり、定着していると感じた。

乗車駅が丹後地域であれば福知山市・舞鶴市・兵庫県豊岡市での降車も可能で、最大運賃1530円が200円となる。このサービスは京都丹後鉄道に受け継がれ、実施以前の3倍を超える利用者数を維持している。

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