京丹後市「上限200円運賃」は地方交通の革命か

補助金をうまく使えば利用拡大が期待できる

京丹後市は2004年に網野町・大宮町・久美浜町・丹後町・峰山町・弥栄町の旧6町が合併して生まれた。合併直前は約6.5万人だった人口は2018年には5.5万人に減少しており、多くの地方都市同様、過疎化と高齢化が問題となっている。

路線バスは、京丹後市と隣接する宮津市および与謝野町・伊根町を、丹後海陸交通の丹海バスが走っているが、利用者減少に悩んでいた。

理由のひとつに運賃があった。多くの地方のバス同様、丹海バスでは距離制運賃を採用しており、最大で1150円にもなっていたからである。しかもこの地域の家庭には、一家に平均で約2台はマイカーがある。高校生はマイカーでの送迎が多くなり、高齢者はマイカーでの移動を続けていた。

しかし前者は家庭の負担が増え、後者は運転免許を返納する高齢者も多くなってきたことから、市では公共交通で移動を支えていくという方針を定めた。

「200円が理想」の声多数

バスに乗ってもらうためにはどうすべきか。2005年に約5000人の利用者に聞いたところ、運賃については200円が理想という意見が多かった。そこで市では、運賃の上限を200円にすることを丹海バスに提案する。

丹海バスは最初は反対したものの、地域の生活を支えたいという思いは一致しており、市が全面的に支えていくと約束したこともあり、最終的に合意した。

「上限200円運賃」の丹海バスの運賃表(筆者撮影)

まず実証実験を翌年から4年間行い、2010年から本格実施とした。2013年からは隣接する宮津市・与謝野町・伊根町の丹後地域の2市2町全域で、自治体内ごと上限200円としている。

実証実験が始まった年度から、利用者数の減少が止まり反転しはじめた。利用者の6割は高校生で、それまではマイカー送迎のほか自転車、原付バイクなどで通学していた。200円なら定期券代が出せると判断した家庭が多かったようだ。200円で通学できるので遠くの高校を選べるようになったという声もあった。

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