京丹後市「上限200円運賃」は地方交通の革命か 補助金をうまく使えば利用拡大が期待できる

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京丹後市では以前から、多くの地方のバスと同じように、丹海バスに補助金を出しているが、実証実験前と比べると2018年度の利用者数は約2.7倍にも増大しており、補助金額はほとんど変わらない。利用者増加に伴い、バス停新設や路線拡充も行うことができた。これも利用者増の要因になった。

なお京丹後市には市営バスもある。丹海バスより利用者の少ない地域を走っており、ほとんどは小中学校のスクールバスへの混乗になっている。こちらも運賃は上限200円とし、気軽に乗れる存在としている。

鉄道も上限200円運賃を導入

こうした状況に影響を受けたのだろう、市内を走る唯一の鉄道である北近畿タンゴ鉄道でも上限200円運賃を導入した。

リニューアルされた京都丹後鉄道の車両(筆者撮影)

北近畿タンゴ鉄道は、旧国鉄が建設を進めていたものの財政難から工事を中断していた福知山―宮津間を開業させるべく設立した第3セクター宮福鉄道がルーツで、1988年に上記区間を開業し、2年後にはJR西日本宮津線の運営を引き継いだ。

ただし第3セクター転換後も利用者は減少しており、1990年には年間累計で約300万人も乗る人がいたが、2010年には200万人を割り込み、経常損失と沿線自治体の補助金額は増加を続け、列車の減便や設備の老朽化が進んでいた。

これを踏まえて沿線自治体では、民間企業に運行を委譲することを決め、2013年に募集を開始した。その結果、高速バス運行などで知られるWILLER(ウィラー)グループが担当することになり、2015年に新会社WILLER TRAINSによる京都丹後鉄道の運行が始まった。

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