「ヤフーは楽天もアマゾンも愛してます」 小売・Eコマースの未来像(1)

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今回のEコマース革命は、本当の本気

ではなぜ2013年の10月にEコマース革命をしたかというと、スマートフォンがあまりにも早く、流行ってしまったからなんですね。スマートフォンがどんどん出てくると、PCのキングであるヤフーは、もう生きていけないわけです。スマートフォンにいくわけですから。

スマートフォンのなかにポータルなんてものはほとんど要らなくって、OSレベルから押さえているGoogleさんとか、デバイスレベルを押さえているAppleさんに、ヤフーというのは、さらにだいぶ上のほうのレイヤーなのか下のほうのレイヤーなのか分かりませんけれども、敵わないですね。このままいくと。あらららら……と。

広告というのは人が多く来ているから価値があるわけで、人が来なくなったヤフーのPC上のトップページなんぞは、広告の価値がどんどん下がっていくってことに、経営陣は大変な危機感を覚えたと。じゃあ、ヤフーしか持っていない情報はなんだ、と。ヤフーは今何をやるべきなんだ、と。人が多く来ている間に、まだまだインターネットのなかで、成長の余地があるEコマースに本当に力を入れよう、と思ったわけです。

そこで、楽天市場の事業を1回も担当したことのない、私が起用されるわけです。経営陣には「私は市場のことはわかりません」と何度も言ったんですけど、「まあでも、それっぽいからいいじゃないか」という一言で、私が起用されるんですけれども。まあ、ヤフーとしては、今までEコマース本気になります、と2度も3度も言っていますが、今回は、本当の本気です。

下手したら、ヤフーは3年後に死ぬ

かつ、ヤフーとしては、今まで検索でいったら、探されたい側と探す側、この方々を無料でマッチングして、探した結果によって満足度を得て、探した先に次回からはヤフーを経由せず、「A」というホームページに行かれる方がたくさんいたとしてもいいじゃないか、でも、それなりの確率でもう一回ヤフーで、もっと面白い情報ないかなって検索してくれるように、と考えてきました。

検索エンジンのもっとも重要な点は、探される先が多いことと、クロール先が多いことですよね。1万個のホームページを検索できるより、10億個のホームページが検索できるほうが、検索エンジンとしては優秀だというのは言うまでもないので、そういう単純な話をしようじゃないかと。ショッピングもきっと一緒だ。1億品の商品が検索できるより、10億品の検索できたほうが、ショッピングサービスとしてはいいんじゃないの、と。

そして、その結果、探した先に次回以降お客様がダイレクトに行ったとしてもいいじゃないかと。だから外部リンクをOKにしたんですね。でもおそらく、お客さんっていうのは、行った先だけじゃ満足しないに違いない。もう一回、その10億品を検索するに違いない。そして、検索される側も、できるだけ自分たちの商品を露出させたい、と言ったら、これは広告になる。「検索と一緒にしてしまえ!」「ヤフーの強み、強いところで勝負しよう!」ということで、ECに対する考え方を、ひたすら楽天市場のモノマネをするところから、ヤフーが一生懸命成功してきた道をたどって、Eコマースをそれに適応する、というほうに変えました。

その変えるきっかけになったのは、ヤフーはこのままじゃ死ぬ、下手したら3年後に消えてなくなるかもしらん!という、強烈な、ここにいる川邊副社長をはじめとした経営陣の強い危機感。それに則って、今回やったということなので。

またEコマース全体を、このヤフーの強い意志によって伸ばすことができるんだったら、必ずや新しい世界が生まれるに違いないと。EC市場がどかんと大きくなることは、必ずや全人類にとってハッピーであると思いましたので、今日この場のソファーに座っていると。こうなると思います。以上となります。ありがとうございました。

※ 続きはこちら:楽天、ハーバード卒28歳役員が語るEC戦略

東洋経済オンライン編集部

ベテランから若手まで個性的な部員がそろう編集部。編集作業が中心だが、もちろん取材もこなします(画像はイメージです)

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