同日選は消滅?解散風は本当に吹きやんだのか 「老後2000万円不足」、浮上する政権への逆風

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最近の国政選挙をみると、自民党は選挙区より比例の合計得票数が数百万票単位で減る傾向が続いている。「個人を選ぶ選挙区では自民候補に投票しても、比例では他党に投票することでバランスをとる有権者が多い」(自民選対)からだ。

これが同日選で4票となれば、「さらに分散化傾向が加速し、とくに衆院選の陰に隠れがちな参院選では、有権者が意識的に遊ぶ可能性が高い」(同)。二階幹事長が「参院選のために解散するのは愚の骨頂」と繰り返してきたのも、「同日選にしたからといって、参院の自民獲得議席が増える保証はない」(自民幹部)のが理由とみられる。 

そうした中、ここにきて政権への逆風ともなりかねない問題が浮上したことも、解散風の減速要因となりつつある。「人生100年時代」が現実味を帯びる中、長期化する老後を支える資産は「約2000万円不足する」という金融庁の報告書が公表されたからだ。野党側は「政権攻撃の絶好の材料」と勢いづき、10日の参院決算委員会で安倍首相らを厳しく追及した。

年金問題は安倍政権の「鬼門」

立憲民主党の蓮舫副代表は「老後のため2000万円貯めろというのは(公的年金が)『100年安心』という政府の方針が嘘だったことになる」と攻め立てた。

議場が野党の野次などで騒然となる中、安倍首相は「(報告は)誤解や不安を広げる不適切な表現だった。『100年安心』は嘘ではない」と反論したが、与党内から「首相はむきになっていたが、説得力に欠ける」(石破派幹部)との声も漏れた。公明党の山口那津男代表も11日、「政府の説明が足りない」と苦言を呈した。

第1次安倍政権の崩壊につながった2007年夏の参院選で自民党が歴史的惨敗を喫したのは、「消えた年金」といわれた年金記録のずさんな管理が原因だった。このため、自民党内でも「年金は安倍政権の鬼門」との声が多く、「ここで同日選に踏み切れば、年金での逆風も加速させかねない」と不安の声が漏れる。

麻生太郎副総理兼財務相は11日の記者会見で問題の報告書を「正式の報告書として受け取らない」と言明。二階幹事長も同日、「(金融庁の報告書は)誤解を与えるだけでなく不安を招き、憂慮している」として火消しに躍起になっている。

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