進取の気性「ゆふいんの森」が駆け抜けた30年 独特のデザインに「物語」を重ねて増す存在感

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博多―別府間の1往復(下り3号と上り4号)をⅠ世、博多―由布院の2往復(下り1・5号と上り2・6号)をⅢ世が担当する。「Ⅱ世」に当たる車両は、ゆふいんの森の運用を卒業した後に何度も名前とデザインを変え、2011年6月から豊肥本線の特急「あそぼーい!」として現役で活躍中だ。

「やっぱりナンバーワン」

ゆふいんの森開発当時を知るJR九州の榎清一さん(記者撮影)

Ⅰ世の開発当時を知る同社運輸部車両課の榎清一さんは「初の観光列車だからいいものを造ろうと一生懸命だった」と話す。独特な形状の前面については「丸いだけでなく傾斜もあるので結構大変だった」と振り返る。

半円を描く先頭部。運転席越しに前面の展望が楽しめる(記者撮影)

コンセプトはヨーロッパの保養地へ向かう高原列車。眺めをよくするため窓と座席を通常より高い位置に上げた「ハイデッカー構造」にし、ビュッフェも設けた。当初から女性受けを狙い、客室内は上質な木材を使ったレトロな雰囲気に仕上げた。

木を多用して客室を優しい空気で包む手法は、同社にとどまらず、その後登場した観光列車のひな型となった。

「やっぱりナンバーワンじゃないですか。30年前の技術力からするとよく造ったなと思う」。全国各地で個性豊かな観光列車が魅力を競い合うようになった現在でも、榎さんのゆふいんの森に対する思いは格別だ。

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