海運業界は当面、厳しい環境続く、市況悪化への抵抗力が問われる《スタンダード&プアーズの業界展望》


相対的に高い格付け維持に向け、市況悪化への抵抗力が問われる局面に

「BBB格」中位から上位に位置する日本の海運各社の格付け水準は、海外の業界他社の格付けと比較して、相対的に高い。これは、1)特定分野の専業会社が多い海外の海運会社と比べ、多様な事業ポ−トフォリオを持つことで、キャッシュフロ−の安定性が相対的に高いこと、2)過去数年、長期契約の積み上げや事業効率化に取り組み、市況悪化に対する抵抗力の向上に努めてきたこと−−により、外部環境が厳しいなかでも、一定のキャッシュフロ−水準を維持することができるとのスタンダ−ド&プア−ズの見通しを反映したものである。また、財務運営においても当面は保守的な方針が維持される可能性が高いことから、過去数年で強化されてきた財務基盤が再び大きく悪化するリスクは限定的との見解にも基づいている。

ただし、スタンダ−ド&プア−ズでは、今後のキャッシュフロ−の下振れリスクに対してより慎重な見極めが必要と考えている。来期以降、各社の収支改善策や燃料価格低下による業績の下支え効果も期待できるものの、主力部門において事業環境が早期に改善する、と楽観視できないことがその理由である。また事業環境の急変以降の各社の設備投資方針を踏まえ、当面の財務内容の方向性を再検証することも必要になってくるだろう。今後、市況低迷の長期化や極端な円高などで来期以降の業績が大幅に悪化する見通しとなる場合や、新造船やM&Aに対する大規模な投資によって財務の健全性が大きく悪化する懸念が強まる場合には、アウトルックの下方修正や格下げの可能性がある。

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