「女子は資格職が一番」と今なお考える親たちへ 女性が多い職種が持つ「行き止まり」リスク

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現実的な対応策として、女性はどうしたらいいか。筆者が理事長を務める昭和女子大では、こうした資格を目指している学生には、絶対に専門職に就かねばと考えるのではなく、資格を持ったうえで企業に一般の社員として就職するという選択肢もありだと言っている。一般企業に入り、その中で資格取得で得た専門知識を生かして、強みにしていくのだ。

たとえば学芸員の資格は、銀行で美術品の資産評価のプロとして能力を発揮することもありうるし、食品会社の営業職で栄養士の資格が生きるかもしれない。

そして専門職を目指す学科に在学中の女子学生には、資格を取るだけでなく、広い教養や行動力を身に付けるよう勧めている。大学時代にしっかり勉強して専門的な資格を身に付けるのはとてもよいことだが、資格を取りそれにしがみついていれば一生有利で安泰というわけではないというのはこれまで述べてきたとおりだ。

変わりつつある社会を見据え、選択肢を増やしてほしい

幸い、育児休業法や女性活躍推進法の後押しもあり、少しずつ女性の勤続年数が伸び、出産育児で休業しても復帰する女性が増えている。資格があるから辞めても再就職ができるだろうなどと甘く考えて、せっかく就職した正社員の職を辞めてしまわないようにしたほうが、個人のキャリア戦略としては正しい。

もちろんメンバーシップ型の働き方に凝り固まって「会社命」となり、内部での評価に一喜一憂し、忖度して生きる社員を目指せというのではない。資格のような自分の強みを持っていて、いざというときにはほかの職場で働ける力を持つことで視野が広がるというメリットは大事にしたほうがいい。

女性が長く働き続けると考えたとき、企業や組織で働くという選択肢を捨てるのは得策とはいえない。

結婚出産をして仕事を辞めるとは限らない時代になったことに、親の世代はいったいどれだけ気づいているだろうか。かつて以上に親たちはしっかり娘の将来を丁寧に考えて、ぜひよきアドバイスをしてあげてほしい。

坂東 眞理子 昭和女子大学総長

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ばんどう まりこ / Mariko Bando

1946年、富山県生まれ。東京大学卒業後、1969年に総理府(現内閣府)に入省。内閣広報室参事官、男女共同参画室長、埼玉県副知事、在オーストラリア連邦ブリスベン日本国総領事などを歴任。2001年、内閣府初代男女共同参画局長を務め、2003年に退官。2004年から昭和女子大学教授、2007年から同大学学長、2014年から理事長、2016年から総長を務める。著書に330万を超える大ベストセラーになった『女性の品格』ほか多数。

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