インドネシア版「Suica」はQR決済に勝てるか

都市鉄道網拡大でICカード普及、今後は?

このように、KCI、MRTJ、そして今後はLRTジャカルタと、ジャカルタの鉄道で続々と採用されているフェリカであるが、あくまでも乗車券機能に特化しており、総合的な電子マネーにはなりえていない。また、今のところ鉄道各社のカード相互利用もできない。

それに比べ、各銀行が発行するICカードは鉄道各社に加えて、市内の主要交通機関である専用走行路を走るバス(バスウェイ、TJ)やコンビニでの買い物、高速道路料金や駐車場の支払いにも使え、汎用性が高い。半ば国策的に導入されたこともあり、普及のためにTJや高速道路での現金支払いを廃止してきた経緯もある。

それでもKCI利用者の大多数がKMTを使うのは「駅でチャージできる」という点に尽きる。インドネシア人は高額のチャージを好まず、こまめにチャージする傾向が強いため、改札内にも乗り越し・チャージ残高不足用の精算機を設置しているKMTは安心感がある。

KCIは、2019年に線内でのKMT利用率を8割まで引き上げることを目標としており、他社との相互利用、また駅ソトのコンビニなどにおける買い物の決済にも使えるよう、整備を進めていくとしている。

市中のコンビニやレストランには、すでに各銀行が用意したクレジットカード・ICカード共用のカードリーダーが用意されている(このリーダーは後述するQRコード決済時のコード印字にも対応している)ため、KMTの読み取りに対応させることができれば、KMTが電子マネーとしても広まって行く可能性は大きい。

急速に伸びるQRコード決済

そんな中、日本と同様にインドネシアでもQRコード決済アプリが存在感を増してきている。

2018年はインドネシアにおいてもキャッシュレス元年であった。地場企業の配車アプリ「ゴジェック」が、運賃支払い用の独自の電子決済システム「ゴーペイ」をQRコード認証に対応させ、市中でのゴーペイ決済が解禁されたのだ。それに追随するようにマレーシア系配車アプリ「グラブ」も地場の大手財閥、リッポーグループが提供するQRコード決済アプリ「オフォ」と組み、同様のサービスを開始した。

市中の各店舗で繰り広げられているQRコード決済サービス各社のキャッシュバック合戦。最近は新参組の「リンクアジャ」や「ダナ」の還元率が高くなっている(筆者撮影)

ジャカルタ首都圏におけるスマートフォン保有率はおよそ8割に達し、すでに配車アプリは市民生活に浸透している。このほかにも電子決済アプリが乱立しているが、すでにゴーペイとオフォの2強体制が確立されつつある。

各社は加盟店舗の急速な拡大、そしてキャッシュバック合戦を繰り広げており、20~30%の還元は日常的だ。しかも、利用額に応じて配車サービス利用時の割引クーポンも配信される。

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