30年前と同じ轍を踏む「地銀」が抱える構造問題 もはや持続可能なビジネスモデルではない
本業の収益性が一気に悪化
金融庁が地方銀行に対して、「持続可能なビジネスモデルの構築」を要請するようになって数年が経過している。それは本業と言えるビジネスが先細りの傾向を強めてきたからである。
もちろん、背景にあるのは、人口・企業数の減少による地方経済の縮小という事態である。それに追い打ちをかける形となったのが、日銀によるマイナス金利政策の発動だ。同政策は、アベノミクスの一環として、2016年2月に導入された。
政府と日銀が共有する政策目標である「消費者物価指数の前年比2%幅の安定的な上昇」を実現するために断行した未曾有の量的緩和政策、いわゆる、黒田バズーカが期待された効果を発揮できずにいたなかで、次の一手として発動されたのがマイナス金利政策だった。
銀行が日銀に預け入れる日銀当座預金の付利(金利)を、一定額を超えた部分について、マイナス0.1%に設定するというものである。この政策が発動されるや、国内のあらゆる金利が一挙に下がり、10年物国債の利回りまでマイナス水準に押し潰される事態となった。もちろん、貸出金利も下がったが、その一方では預金金利をマイナスにすることはできず、文字どおり、形だけのプラス金利が設定されている。
その結果、「預金で集めた資金を貸出に回して、その金利差で稼ぐ」という銀行の本業は、金利差である利ざやが一挙に縮小し、収益性が悪化してしまった。預金金利と貸出金利、有価証券運用利回りの差である総資金利ざやがマイナスに陥る銀行が増え続けている。
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