独断で選ぶ、日本の蒸気機関車「最強」の五人衆

馬力、華やかさ、保存両数が最多…

5:千両役者 C11

SL大樹として走るC11(大桑―大谷向間、2017年6月16日筆者撮影)

電車やディーゼルカーが本格的に実用化される前は、大都市の近郊といえども蒸気機関車の牽く列車が走り回っていた。このような列車には、水や石炭を機関車本体に積み込んで折り返すたびに機関車の向きを変えずに済む“タンク式”機関車が使われることが多い。

昭和に入った頃には、それまで古い機関車を使いまわすことが多かったこの種の列車にも、新式の機関車を導入する機運が高まった。最初はC10という機関車が1930年に製造され、その実績をもとに1937年から量産されたのがC11である。

走れる状態の車両は最多

しかしC11が都市近郊列車に使われた時間は短い。省線電車(戦後は国電と呼ばれる)の技術開発が進んだからである。それにもかかわらず、この機関車はその後も製造され続けた。それはなぜか。

地方線区に残っていた明治期の雑多な機関車を引退させるためにも有用な機関車であることが、第一線への投入後間もなく明らかになったからである。客車だけでなく、貨物列車の牽引にも使われるようになった。石炭や水の積める量を増やすなど、少し設計を変更したうえで、実に1947年まで、ほとんど途切れることなく造り続けられた。

その間には私鉄や、炭鉱などの産業鉄道向けにも供給されて、総数は実に400両を超えた。鉄道省/国鉄での最大両数を誇るD51、長距離の地方線区向けC58に続く第3位である。

現在、5両が本線で走ることができる状態にあり、さらに1両がラインナップに加わろうとしている。これは、いわゆる動態保存蒸気機関車の中で最多両数である。これも、この機関車が千両役者であることの、証しの1つであるに違いない。

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