独断で選ぶ、日本の蒸気機関車「最強」の五人衆 馬力、華やかさ、保存両数が最多…

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4:鉄道近代化の看板娘C55 

C57と人気を二分するC55(若松機関区 1969年3月25日筆者撮影)

20世紀初頭……大正時代、日本の鉄道は大発展を遂げた。経営的な面はもちろんのこと、車両や施設などの製造や保守技術などの面でも同様だった。蒸気機関車の設計でも、諸外国から輸入した機関車によって多くのことを学び、わが国独自のノウハウが確立され、昭和に入ると、熟成はさらに進んだ。

そんな時期、1935年に登場したのがC55という機関車である。大正期に誕生したC51という急行列車用機関車の性能を受け継いだうえで、使い勝手や技術面で一層の昇華を成し遂げた機関車といえる。

C51の後継機関車には、C53という機関車も存在した。安全性確保のために重くなった客車を、それまで以上の長い編成で高速で走らせるために性能を向上させたものだが、特殊な構造が災いして活躍の時期は短く、第2次世界大戦後のC62で完成形を見ることになる。

北海道から九州まで配置

話は戻ってC55。当時の国鉄(鉄道省)は、鉄道近代化をアピールするために、出来上がったC55を北海道から九州まで、分散して配置するという施策を採った。さらに“流線形ブーム”に乗って21両を完全な流線形として新製し、これもまた各地にちりばめたのだった。

最終的には62両が製造されて、その後は性能が少し向上して丸味を帯びたスタイルのC57へと発展する。そういう意味では過渡的存在ともいえるけれど、多角的な面で飛躍的な近代化を実現したという点で、画期的な存在なのである。なにより“看板娘”よろしく、多くの人々に注目された功績は大きい。

趣味的な評価で好みは人それぞれ。C57とC55とでは甲乙つけがたく、つねに趣味人の話題の的だ。誕生から80年を経た今もなお、看板娘への評定は続いている。

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