「iPhoneアプリ」なぜ4割が審査を通らないのか

WWDC直前にアップルが訴えたかった「正当性」

一方、グーグルがAndroid向けに展開するアプリストア「Google Play Store」はより自由度が高く、Google Play以外からアプリを手に入れる手段も用意されている。その点で、アップルのApp Storeは「閉鎖的」「独占的」との批判が過去から続いてきた。

しかし消費者は、App Storeでの購買に積極的だ。アップルのスマートフォンのシェアは世界で15%に満たないが、アプリの売り上げはグーグルの約2倍を維持しており、これまでApp Storeの開発者が得た利益は総額1200億ドルにものぼる。

アプリの4割が却下される理由とは?

アップルが公開したページでは、知られざる実態も明らかになっている。

アップルは毎週、10万件のアプリを審査しており、その多くは24時間以内に完了するとしている。世界84カ国、3つのタイムゾーンに分かれてレビューチームが組織されており、専門家の手で一つひとつのアプリを検証しているのだ。6割のアプリが承認されるが、4割のアプリが却下され、開発者に差し戻される。レビューは、新たにアプリを公開する際だけでなく、バージョンアップ版を公開する際にも行われる。

アップルは「アプリがダウンロードされたら、そのアプリは正しく動作しなければならない」と考えており、プライバシー、デザイン、ビジネスモデルのガイドラインに沿っているかを調べ、満たしていなければ開発者に追加の対応を求める。却下される最も多い理由は、軽微なバグ(誤り)、プライバシーの懸念に対する対応だという。ただ却下するだけでなく、週に1000回、開発者に電話して解決方法を手助けしている。

話を聞く開発者は、アップルのアプリ審査態勢に、おおむね好意的だ。アップルが整えているアプリビジネスの環境を評価している。最新OSが素早く多くのユーザーに行き渡り、新しいアイデアを試しても、多くの顧客に使ってもらえるという。

またアプリを動作させるデバイスやOSの信頼性や性能が高い点も、安心してアプリを開発する動機になっている。顧客体験を毀損せずに使ってもらうことは、結果的にその企業にとってメリットにつながる。

こうしたページを公開した背景はどこにあるのだろうか――。アップルはApp Storeの仕組みについて開発者以外にも、より詳しく説明する必要性が出てきたからではないか。

「アップルはApp Storeを通じてアプリ市場を独占し、アプリ価格を高止まりさせ、消費者に不利益となっている」としたアメリカの消費者からの反トラスト法に関する集団訴訟。アメリカの最高裁判所は5月13日、5対4でこの裁判を進めることが可能だと判断し、驚きが広がった。また同様の集団訴訟が5月23日、カリフォルニア州でも起こされ、30%の手数料率の引き下げも提案されている。

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